本研究の目的は、日本国内に広く存在する茶産地における地域的な特徴・課題について、生産・加工・流通・消費の側面から明らかにし、各産地に適合的な茶業のあり方を提案することであった。具体的には、第一に、日本国内における主要茶産地を対象として生産から販売までの特徴および課題について、文献研究・統計的分析・実証的分析によって明らかにすることであり、第二に、消費者の消費動向を明らかにした後に、各茶産地の特徴や課題に基づいた生産計画・販売戦略の提言を行うことである。 23年度は、まず茶業経営の現代的位置づけを把握するために、既往研究の整理を行い、本研究の位置づけをより明確にした。さらに、静岡県、福岡県、鹿児島県等で、行政、茶の生産者や茶工場、茶商などの流通業者、茶生産に参入した企業等へ聞き取り調査を行い、これによって、茶の生産・加工・流通に関する地域ごとの特徴や課題を整理した。また、韓国でも現地調査を行い、海外の動向に関する知見も得た。これらの成果について、11月にインドネシアで開催されたThe International Society for Southeast Asian Agricultural Sciences(ISSAAS(東南アジア農学会))において報告を行った。 24年度も引き続き、現地調査を進めることに加えて、Webを用いた消費者調査を行い、消費者の飲料消費の傾向、ブランド認知、茶に関する経験とリーフ茶飲用の因果関係などを明らかにした。これらの成果は、日本農業経営学会等において報告を行った。以上の研究をつうじて、当初の目的のかなりの部分が達成されたと考えられる。また、産地でも積極的に報告を行ってきたことことによって、研究成果を一定程度社会化することができたものと考えられる。
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