研究課題/領域番号 |
23780250
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金山 素平 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60398104)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 粘土 / 微視的挙動 / マイクロインデンテーション / 速度効果 / 非排水せん断強度 |
研究概要 |
本研究では,購入したテンシロン型万能試験機を使用して,種々のマイクロオーダーによる試験を行いデータの拡充を図り,地盤の強度定数を検討した.実験条件は,載荷速度が0.1mm/sec,最大押込み深さは1mm,繰返し載荷回数は10-40回とした.不撹乱試料において,一軸圧縮試験から求まる非排水せん断強さと比較した結果,押込み深さ約0.3-0.4mmにおいて両者はほぼ一致したことから,マイクロインデンターを使用した強度評価の有効性が確認できた.この結果は,複合物質である土が連続体として挙動し始める点を評価したものであり,学術的にも応用技術的にも非常に重要な結果であることから,更なる検討と考察が重要となる.また,試験結果は試料の表面状態,粒子径の大きさおよび粘性に大きく影響を受けることから,試料作製方法の影響評価,載荷速度の影響の検討を行った.粘土の強度は,インデンター先端球の接触面積を算定することによって求めることが可能である.しかし計算による算定ではなく,試料表面のインデント後の圧痕の面積を画像解析することによって正確な強度を評価した.また,実際の粘土は粘土粒子のみで構成されておらず,様々なプランクトンの遺骸や珪藻が含まれている.走査型電子顕微鏡(SEM)の画像から珪藻や有孔虫の遺骸を確認した.このことから,微小な領域における粘土の力学的挙動を評価するうえで,試料表面のインデント後の構造観察が非常に重要となることが分かった.上記研究成果を,J.Fac.Agr.Kyushu Univ.に投稿し,本誌57(1),189-194(2012)に記載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の科研費交付について,分割払いであったことおよび震災復興財源の確保の検討があり交付が遅れた.そのため購入予定であったテンシロン型万能試験機の納入が大幅に遅れた.購入後は,マイクロインデンターを使用した強度評価の有効性,試料作製方法の影響評価,載荷速度の影響の検討および試料表面のインデント後の圧痕の面積を画像解析等を行った.本研究成果を,先行して行っていた過去のデータとともにまとめ,論文として報告したこと,学会にて講演を行ったことから,順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
テンシロン型万能試験機試験機を使用した地盤のマイクロスケールにおける繰返しインデント試験による強度定数の定量的評価とインデント後の試料表面の画像解析を継続して行う.また,マイクロパラメータとマクロパラメータとの相関性の検討と実問題への適用性に関する検討を行う.また,上記研究内容と並行して,人工的に強度を発現させた土試料のマイクロスケールにおける強度評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の要求設備備品の高精度微小荷重ロードセルは,より微視的な領域での試験を遂行するために必要である.性能・価格ともに標準的なものである.旅費については,他国での資料収集・研究打ち合わせおよび実験を想定して積算し,成果発表に必要な経費に基づいて積算している.消耗品費については,研究遂行上必要な土質試験機部品やガラス器具,計測機器具類,試料作製機具などの経費に基づいて積算している.謝金については,研究協力者の試料提供費として積算している.その他の費用は,研究成果を発表する論文の投稿料と論文別刷り代および印刷費を計上している.
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