本研究では,購入したテンシロン型万能試験機を使用して,種々のマイクロオーダーによる試験を行いデータの拡充を図り,地盤の強度定数を検討した.実験条件は,載荷速度が0.1mm/sec,最大押込み深さは1mm,繰返し載荷回数は1-20回とした.不撹乱試料において,一軸圧縮試験から求まる非排水せん断強さ,フォールコーン試験から求まる非排水せん断強度と比較した結果,押込み深さ約0.3-0.4mmにおいて両者はほぼ一致したことから,マイクロインデンターを使用した強度評価の有効性が確認できた.この結果は,複合物質である土が連続体として挙動し始める点を評価したものであり,学術的にも応用技術的にも非常に重要な結果であることから,更なる検討と考察が重要となる.また,試験結果は試料の表面状態,粒子径の大きさおよび粘性に大きく影響を受けることから,試料作製方法の影響評価,載荷速度(0.01,0.02,0.05,0.1,0.2,0.5および1mm/secの7通り)の影響の検討を行った. また,産業廃棄物であるカキ殻の有効利用を視野に入れ,微生物の代謝活動を利用した土の微生物固化処理について実験的に検討した.マイクロインデンターによる硬度の測定においては,大気中からの二酸化炭素に加え,微生物代謝による二酸化炭素がカキ殻から溶出したカルシウムイオンと反応することで,炭酸カルシウムが析出し,硬度が増加することが確認された. さらに,対象が土とは異なる微生物が形成するバイオフィルムの物理的特性をインデンテーション法によって測定した.その結果,バイオフィルムそのものが有する力学的特性の評価にインデンテーション法を利用できる可能性を示す成果を得ることができた.
|