研究課題/領域番号 |
23780251
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宮本 英揮 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10423584)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 時間領域透過法 / マイクロ波 / 土壌水分 / 電気伝導度 |
研究概要 |
3年計画の初年度にあたる平成23年度は,時間領域透過法(TDT)による土壌水分・EC計測法を確立するための基礎知見の収集,すなわち次の(1)~(3)の検討を行った。(1)ガイド付き小型TDTセンサーの製作:同軸ケーブル,コネクタ類,ステンレス鋼等を用いて,小型TDTセンサーを製作した。センサーの感知部長は5cm,10cm,20cmの3種類とし,以後,これらをガイド付きセンサーと称する。(2)ガイド付きセンサーの影響領域の評価:誘電特性の異なる種々の薬品で満たした容器内に自作したガイド付きセンサーを設置し,高周波マイクロ波信号発生器およびオシロスコープを用いて,各薬品のTDT波形を取得した。そして,波形から信号伝播速度(v)を算出するとともに,容器内壁面-センサー間距離とvとの関係より,各センサーの影響領域を評価した。(3)土壌中のマイクロ波信号の複素誘電スペクトルの計測:誘電分光法を利用して,水分量および導電性の異なる土壌の複素誘電率を,50GHzを計測の上限値として測定した。粒径の大きな土粒子を多量に含む砂質土壌においては,センサーとサンプルとの接触が不十分であったことが原因で,高精度の複素誘電スペクトルを得ることができなかった。しかし,粘土画分を多量に含み,流動性の高い粘土質土壌においては,異なる水分量・EC条件下で複素誘電スペクトルの計測に成功した。このスペクトルに基づき,v値が特異な応答を示す周波数を探索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の土壌において,計測上の問題が生じたが,概ね当初の計画通りに研究がすすんでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,時間領域透過法(TDT)による土壌水分・EC計測法の確立を目標として,(1)基礎知見の収集,(2)計測システムの開発およびその実証,(3)実用化に向けたハードウェア開発の順に,3ヵ年計画で段階的に研究を推進するものである。平成23年度は,概ね当初の計画通りに研究がすすんだことから,平成24年度は,研究計画に従って(2)の内容について検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,TDT計測システムの開発およびその実証を目的として,次の2項目について検討を行う予定である。(1)広帯域信号を用いたTDTの性能評価:前年度に製作・利用したガイド付きセンサー,計測機器,チャンバー等を用いて,(a)広帯域信号を利用したTDTによる土壌水分・EC計測実験を行い,モニタリング手法としてのTDTの有効性を検討する。(2)狭帯域信号を用いたTDTの実証試験:前述((1))の計測システムの信号伝送路上に,所定の周波数成分のみの通過を許すフィルターを設置して,信号調整機能を有するTDT計測システムを構築したうえで,(1)と同一の計測実験を反復する。そして,誤差評価・校正,計測限界評価などを行うとともに,広帯域信号を用いたTDT((1))との比較を行う。
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