研究概要 |
今年度は,炭化物の土壌混入が農作物の重金属吸収抑制に及ぼす影響について検討を行った. 試験は,高濃度の重金属を含有する土壌(Cd (3.3 mg/kg), Pb (338 mg/kg), Cu (28 mg/kg),As (38 mg/kg))において行った.また,炭化物は,スギチップ,ヒノキチップ,モウソウチクチップ,籾殻,鶏糞,集落排水汚泥を600°Cで炭化したものを用いた.各炭化物を3% (w/w)の混入割合で重金属含有土壌に混入した.対照区として炭化物混入しない土壌を用いた.そして,これらの土壌を用いて,グリースチャンバー内で小松菜を28日間栽培した.28日間栽培後,小松菜の地上部を収穫し,炉乾燥後,乾物のPb, Cu,As,Cd含有量を測定した. 小松菜のPb, Cu,As含有量は,どの炭化物の混入によっても有意に影響しなかった.一方,小松菜のCd含有量は,どの炭化物の混入によっても有意に削減した.その削減率は,鶏糞由来炭化物 (78%) >> 集落排水汚泥由来炭化物 (31%) ≒ 籾殻由来炭化物 (29%) ≒ モウソウチクチップ由来炭化物 (28%) ≒ ヒノキチップ由来炭化物 (26%) > スギチップ由来炭化物 (19%)の順であった. これらの結果は,炭化物(特に,鶏糞由来炭化物)の混入により,土壌Cdの不溶化が起こることを示唆している.これらのメカニズムを解明するために更なる検討が必要である.
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