研究課題/領域番号 |
23780254
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
亀山 幸司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所企画管理部業務推進室, 企画チーム長 (90414432)
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キーワード | バイオチャー / カドミウム / 吸収抑制 / 土壌改良 / 炭素貯留 |
研究概要 |
今年度は,炭化物の土壌混入がコマツナのカドミウム濃度や土壌カドミウムの吸着形態に及ぼす影響について検討した.試験は高濃度のカドミウムを含有する砂質酸性土壌(Cd:3.3 mg/kg;pH:5.1)で行った.600℃で生成したスギチップ,ヒノキチップ,モウソウチクチップ,籾殻,鶏糞,集落排水汚泥由来の炭化物を対象土壌に重量比3%で混入した後,混入土壌にコマツナを播種し,グロースチャンバー内で28日間栽培した.実験後の土壌のカドミウム吸着形態やコマツナのカドミウム濃度を測定した. 炭化物の混入によるコマツナのカドミウム濃度の削減率は,鶏糞由来炭化物(78%)≫集落排水汚泥由来炭化物(31%)≒籾殻由来炭化物(29%)≒モウソウチク由来炭化物(28%)≒ヒノキチップ由来炭化物(26%)>スギチップ由来炭化物(19%)の順であった. また,土壌カドミウムの吸着形態の分析結果から,鶏糞,集落排水汚泥由来の炭化物を混入した場合にのみ,混入土壌の交換態各分は,無混入土壌と比較して有意に減少した.一方,鶏糞,集落排水汚泥由来の炭化物を混入した土壌の炭酸塩態各分は,無混入土壌と比較して有意に増加した.また,その他の各分(酸化物吸着態,有機物結合体,残渣)については,有意に変化しなかった. これらの結果は,鶏糞,集落排水汚泥由来の炭化物を土壌混入した場合に土壌吸着カドミウムの不溶化が進み,コマツナのカドミウムの吸収抑制に効果があることを示している.このため,次年度は,炭化物のどのような理化学性がカドミウムの不溶化を進めるのかを明らかにするため,炭化物の官能基量やリン酸含有量等の理化学性の分析を行い,土壌吸着形態との関係性を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の成果により,炭化物の土壌混入によってカドミウムの不溶化が生じ,農作物のカドミウム吸収が抑制されるメカニズムが明らかとなった.このため,次年度は,炭化物のどのような理化学性がカドミウムの不溶化を進めるのかを明らかにするため,炭化物の官能基量やリン酸含有量等の理化学性の分析を行い,土壌吸着形態との関係性を検討する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,炭化物のどのような理化学性がカドミウムの不溶化を進めるのかを明らかにするため,炭化物の官能基量やリン酸含有量等の理化学性の分析を行い,土壌吸着形態との関係性を検討する.その成果を基に,カドミウム吸収抑制効果の高いバイオマス炭化物の土壌混入方法を提案する.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度当初に計画していた国際学会での成果公表を年度内に行わなかったため,平成25年度はこれに相当する残額が発生した. 平成25年度の残額分については,次年度,国際学会において成果発表する際の旅費及び学会参加費として使用する.
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