研究課題/領域番号 |
23780257
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉越 恆 山口大学, 農学部, 学術研究員 (10372757)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 暑熱対策 / 温室効果気体 |
研究概要 |
牛体熱ストレス時における温暖化リスクと対策法評価」研究と連携して行うこととしている。これらの環境データを同時に得ることで、周囲環境および牛体の生理状態がメタン・二酸化炭素排出量に及ぼす影響について解析を進めた。第一段階は、二酸化炭素・メタンガス分析計を用いた排出量モニタリングシステムの構築であるが、初年度(H23)においては、分析計の運用試験とフラックス測定値の精度検証および技術的問題点整理として、二酸化炭素分析計を用い、クローズドチャンバー法による分析手法の構築を試みた。ガス分析計に要求される精度について実験を重ね、当初予想された濃度差(二酸化炭素では10~30ppm以上)の検証を行ったところ、気流流速が一定の条件下においては、安定した空気混合と換気状態を把握する目処がたった。しかし、流速が小さい場合には、精度よく測定することが困難であるため、欠測扱いとせざるを得ないことが明らかとなった。連続測定のためには、この欠測補完の方法を明らかにする必要があり、気象データやその他の条件を元に、合理的で誤差の少ない推定法について研究を行った。一方、精度検証と並行し、第二段階の長期測定によるメタン排出量の季節変動を解明のため、通年データ取得可能な自動計測システムの設計、試作を行い、一部現地計測を試行した。秋季から断続的に現地計測を行い、ガス分析システムの運用試験、畜舎換気量の把握実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二酸化炭素・メタンガス分析計を用いた排出量モニタリングシステムの構築については、クローズドチャンバーの試作を行い、二酸化炭素分析計での運用試験を予定通り行った。ただし、メタン計が都合により入手できなかったため、メタンについては次年度の課題とした。気流流速の検証については、計測精度が低下する条件を抽出し、全体の精度向上についての検討を行った。秋季から断続的に現地計測を行い、ガス分析システムの運用試験、畜舎換気量の把握実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に明らかになった計測制度上の技術的課題を解決し、ガス分析計の手配を早急に行い、二酸化炭素・メタンガス分析計を用いた排出量モニタリングシステムを完成させる。また、測定条件(気流流速)の検証については、計測精度を向上させる方策を検討する一方、欠測補間のための推定方法を確立し、長期連続観測に耐えうるシステム運用を踏まえて全体最適化と精度向上を行う。暑熱環境および生体反応計測を含めて現地計測を行い、ガス分析システムの運用と排出量の把握を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時にはメタンガス分析計をリース手配することとしたが、研究開始時点では既に予約が入り、代替機は高額のため十分な試行期間がとれないことが分かった。従って、メタンガス分析計およびその付帯設備である水素発生装置等の購入を一時保留し、23年度では炭酸ガス分析計によるシステムの試作と分析技術的課題解決に努めたため繰越金が生じている経緯である。今年度は、前年度に購入を保留したガス分析計システムおよびその付帯機器を手配する予定である。また、ガス分析計システムのメンテナンスに必要な消耗品を購入する。当初予定通り、暑熱ストレスに伴う生体反応測定(呼吸回数)とメタン・二酸化炭素排出量との関係についての研究に展開するため、呼吸測定用の機器(ストレインゲージを用いた呼吸量)を配備する。調査研究旅費は、設置畜舎への月1往復費用、実験補助については、夏季の集中観測補助のために学生アルバイトを依頼する。成果発表は、前年度末に解析した結果を、国内学会発表、論文投稿し、国際学会に話題提供する。
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