研究課題
近年の農作業の省力化や環境保全型農業への関心の高まりから,省耕起,浅耕法,部分浅耕法などの新しい耕うん技術が多数開発され実用化されている.これらの耕うん技術は実機試験や栽培試験等によってその有効性の評価が行われている.本研究では,耕うんメカニズムやプロセスの解明を行うため,数値計算力学的手法の一手法である三次元個別要素法を用いた耕うんシミュレータの開発を行った.23年度では,耕うんシミュレーションに用いる土壌の材料定数(土壌の剛性,土壌粒子間の粘着力および結合力)の推定を行った.次に,実際に圃場で用いられているはつ土板プラウを採寸して作成したプラウの三次元形状モデルを用いて,(1)プラウ面に作用する各分力値の予測とその妥当性を文献データと比較・照査し,解析結果が実測結果と同様の傾向で計算できること,(2)土壌特性の違いが土壌の反転性に及ぼす影響を定性的に評価できることを示した.24年度では,前年度の解析結果を踏まえて,その精度向上を目的に,まず,室内土壌槽を用いた耕うん実験装置を製作し,小型ディスクプラウによる土壌切削実験を行った.実験では,小型ロードセルを用いた切削抵抗,三次元スキャナを用いた土壌表面の切削痕形状の計測を行った.一方,三次元スキャナを用いて供試したディスクプラウの三次元形状モデルを作成し,同形状モデルを導入した耕うんシミュレーションを行い,得られた解析結果を実測結果と比較・照査した.その結果,解析では土壌を構成する個別要素粒子の数に限界があることから,平均の切削抵抗はほぼ同程度に予想されたのに対し,その変動波形は実測結果に比べて上下に大きく振動する傾向を示した.この点は土壌モデルの再検討が必要と判断された.土壌表面の切削痕については両者に比較的良い一致が認められた.
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農業機械学会誌
巻: 74(3) ページ: 207-212
Proc. CIGR2012
巻: 1 ページ: CD-ROM
Proc. ISMAB2012