研究課題/領域番号 |
23780264
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
石井 里美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10391286)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 窒素固定 / 13N標識窒素ガス |
研究概要 |
根粒菌が窒素を固定し、窒素化合物を植物体に輸送する様子のイメージングを実現化させるために13N窒素ガストレーサーの製造法の改良を行った。まず、13N窒素ガスの製造時に生成する13N窒素酸化物を不純物とみなして除去するか、同時に回収するか検討した。照射済みの二酸化炭素ガスからソーダライムによって二酸化炭素のみを除去し、13N窒素酸化物を含んで約200MBqの13N標識ガスを回収した。これを植物に投与し、ポジトロンイメージングにより画像化した。また平行して13N窒素酸化物を定量し、13N標識ガス中に2/3程度含まれていることがわかった。得られた画像では根粒に13Nシグナルが得られたが、13N窒素ガスを精製して与えたときと異なる画像となった。さらに13N窒素酸化物の影響を調べるために投与時のがすに非放射性の窒素酸化物を混ぜ、植物に投与した。この場合も根粒に取り込まれこれらのことから13N窒素酸化物を除去する必要があることがわかった。さらに、高い放射能量を確保するには窒素酸化物を13N窒素ガスに還元する方針とした。そのために照射済みのガスから二酸化炭素を取り除き、銅触媒を用いて高熱に熱することで窒素酸化物を還元する準備を進めた。また、微弱なシグナルであると予想される窒素化合物の移行をより鮮明な画像として得るためには新しいセルの設計が必要である。今までの操作を踏まえ、投与が簡便かつ効率的な構造のセルを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根粒の窒素固定および窒素化合物の輸送を解析するためには13N2トレーサーの製造方法を再検討し、その方針に目処を立てた。
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今後の研究の推進方策 |
対象とする環境条件として、地上部の光条件と地下部への硝酸供給条件を予定している。肥料に含まれる硝酸態窒素による根粒の窒素固定の阻害が農業上の問題となっている。光条件に関する実験では、13N2トレーサーと、半減期20分の11Cで標識した二酸化炭素トレーサーを用いる。2時間待てばそれぞれ放射能量が13N:1/4096, 11C:1/64となるため、同一個体を用いて異なる実験条件で次の実験が可能である。まず根粒の窒素固定を13N2トレーサーを用いて計測し、その後11CO2を葉に与え、地下部への移行を観察する。その後同一個体を用いて異なる光条件で、同様の測定を行う。それぞれの測定結果で得られた画像からどの部位へどのような速度でどれ位、光合成産物、窒素化合物が輸送されたか、定量的な解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
植物の維持のために、常時、試薬やプラスチック器具、ガラス器具等消耗品が必要となる。これらの購入を行う。国外では2012年オーストラリアで開催予定の国際窒素固定学会で発表するために、旅費を計上する。
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