研究課題/領域番号 |
23780266
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川村 健介 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (90523746)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 放牧管理 / 低高度リモートセンシング / 空撮 / 精密放牧 / 草地生態学 |
研究概要 |
飼料生産の場としての草地および放牧地において,その保全と持続的利用のためには,時々刻々と変化する草資源量と牧草栄養価(飼料成分)を広域的かつ定量的に把握する草地診断技術と広大な放牧地に放たれた家畜がどの場所でどれくらい草を食べ,糞尿を排出しているのかを詳細かつリアルタイム観測が可能な新しい技術の開発が求められる。本研究では,放牧草地内の草-家畜の面的な空間分布を最適化し,「生産性の向上」と「持続的利用」の両立を可能とする新しい放牧システム(精密放牧システム)の構築を目指して,これまでに主に地上レベルで開発した分光リモートセンシング技術を応用・発展させ,圃場内における牧草の面的な変動をリアルタイムで観測可能なラジコンヘリ搭載分光カメラ観測システムの開発を目的としている。 研究計画に基づき,今年度は(1)撮影システム部のプロトタイプ作成と,(2)草量・草質の推定に有効なバンド(波長域)の選択のための地上分光スペクトルデータの計測を北海道農業研究センターの放牧地で実施した。具体的には,携帯型ハイパースペクトル計測機器を用いた地上計測と試作カメラを搭載したラジコンヘリからの空撮を同時期(8月)に2回実施した。地上ハイパースペクトル計測は,植生調査および地上部の刈取りと合わせて50地点で実施した。以上で得られた地上および空撮情報から,草量だけではなく草質(粗タンパク質)について,精密(高分解能,約15 cm)な分布図を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い,北海道における現地調査およびラジコンヘリに搭載するカメラシステムの試作品は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度(最終年)は,初年度に開発した分光カメラシステムを搭載した自立型飛行ラジコンヘリによる草量と草質の空間分布推定精度の検証作業と季節変化モニタリングのため同様の現地調査を実施する。放牧試験についても,初年度同様,研究協力者が中心となってGPSと加速度センサーを取り付けた牛の行動調査(5~11月)を実施する予定にある。 以上で得られる牧草マップ(画像形式)と家畜行動情報(点分布)の異種空間情報は,地理情報システム(GIS)上で蓄積・統合し,草量・草質の面的分布と放牧家畜の空間的選択性の関係について,地理統計学手法(Geostatistical Analysis)を用いた解析を行う。 上記のように,得られたデータの包括的な解析と検証作業を進めると同時に,研究成果のアウトプット(学会,公開講座での発表や論文執筆)についても精力的に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費:該当なし。消耗品:牧草の飼料成分分析100検体(50地点刈り取り×回)に係る費用40万円を計上した。旅費:広島大学の旅費基準に従い,調査旅費(東広島-北海道)と学会での成果発表旅費(東広島-東京)に係る費用を計上した。謝金:現地調査補助者(大学院生)への謝金として,広島大学の基準に従い必要な額を計上した。その他:自律型飛行ラジコンヘリによる空撮にかかる費用60万円×1回(8月)にかかる費用を計上した。
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