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2012 年度 実施状況報告書

肉畜資源としての口之島野生化牛の高度利用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23780267
研究機関鹿児島大学

研究代表者

大島 一郎  鹿児島大学, 農学部, 助教 (60465466)

キーワード口之島野生化牛 / 産肉性 / 骨格筋 / 筋線維 / 結合組織
研究概要

本申請研究は、我が国の在来牛である口之島野生化牛(以下、野生化牛)を遺伝資源として利用することで放牧主体により生産された牛肉の高品質化が可能であるという仮説を検証する第一段階として、野生化牛と黒毛和種の間の交雑牛(以下、KJB)の慣行肥育における発育および肉質特性を検討することを目的としている。研究期間3年間(H23~H25)において、慣例肥育下での(i)KJBの体重および体尺測定値の推移(ii)KJBの胸最長筋筋線維型および筋線維直径の推移(iii)KJBの胸最長筋における筋周膜および筋内膜の厚さの推移(iv)屠殺後のKJB胸最長筋における筋線維型同定、筋線維直径計測および筋内コラーゲン構築の4点に関して検討する予定である。
平成23年度にKJBの流産が発生し、年度終了時点においてKJB3頭および黒毛和種2頭であったが、平成24年度出生の黒毛和種1頭を供試牛として確保し、試験牛計6頭の確保は達成された。これらの供試牛は、平成23年8月までに出生した先行牛群(KJB2頭および黒毛和種2頭)とそれ以降に出生した後行牛群の間に約9ヵ月の月齢差があるため、各々月齢に応じた同様の飼養管理を行いながら並行して試験を行っている。体重および体尺測定は予定通り全供試牛で毎月行っており、得られたデータから、KJBの初期発育特性を日本暖地畜産学会(平成24年11月)において公表した。一方、生研針による胸最長筋サンプル採取は、先行牛群で6、12、18ヵ月齢、後行牛群で6、12ヵ月齢のサンプリングが完了している。現在、その組織化学的特性を解析中である。
先行牛群のうち、KJBは平成25年9月に、また黒毛和種は同年11月に27ヵ月齢を迎え、屠殺が予定されている。屠殺解体処理に関しては、既に平成24年度中に県内食肉企業に協力を打診し了承を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成23年度に供試牛の流産が発生したものの、平成24年度には全ての供試牛の確保を完了した。しかし、供試牛全6頭のうち、平成23年8月までに出生した先行牛群4頭(KJB2頭および黒毛和種2頭)とそれ以降に出生した後行牛群2頭(KJB1頭および黒毛和種1頭)の間に約9ヵ月の月齢差が生じており、全体的な研究の進行は当初の予定より9ヵ月間遅延していると言える。この供試牛の月齢差を短縮することは不可能であるが、先行牛群と後行牛群を並行して調査することで可能な限りスムーズな研究遂行を行っている。経時的な作業が必要となる供試牛の体重、体尺測定データおよび胸最長筋サンプル採取は先行牛群および後行牛群ともに予定通り既定月齢で行っており、データおよびサンプル採取に欠損ならびに遅延はない。現在、採取した胸最長筋サンプルの凍結切片作成、組織化学的染色、免疫組織化学的染色を進めており、当初の目的のうち(ii)KJBの胸最長筋筋線維型および筋線維直径の推移および(iii)KJBの胸最長筋における筋周膜および筋内膜の厚さの推移を解析している。
これらを総合すると全体的な進捗状況は供試牛全6頭のうち2頭に9ヵ月程度の遅延があるため、やや遅れていると評価される。

今後の研究の推進方策

平成24年度までに、供試牛全頭の確保および飼養環境(牛房、周辺設備)の確保も終了しているため、供試牛の飼養管理に関して屠殺まで特段の措置等は必要ない。また、平成25年度に予定されている供試牛4頭(先行牛群)の屠殺解体においても、平成24年度末までに県内食肉企業への協力依頼を行い、了承されているため、出荷、屠殺、解体、枝肉引取りの手配は終了している。
平成25年度は引き続き毎月の体重、体尺測定データを確実に採取する予定としており、当初目的の(i)KJBの体重および体尺測定値の推移のデータ採取を完了させる予定である。また、引き続き生研針による胸最長筋サンプル採取を行うとともに、既に採取済みである先行牛群の6、12、18ヵ月齢胸最長筋生研針サンプル、後行牛群の6、12ヵ月齢胸最長筋生研針サンプルの解析を8月までに終了させ、(ii)KJBの胸最長筋筋線維型および筋線維直径の推移および(iii)KJBの胸最長筋における筋周膜および筋内膜の厚さの推移の解析結果を取りまとめる予定である。加えて、平成25年9月および11月に先行牛群を予定通り解体し、枝肉データの採取およびサンプリングを遂行し、(iv)屠殺後のKJB胸最長筋における筋線維型同定、筋線維直径計測および筋内コラーゲン構築の検討に着手、完了する予定としている。
これら平成25年度夏までに得られたデータをとりまとめ、平成25年9月に予定されている日本畜産学会、平成26年3月に予定されている日本暖地畜産学会にて発表するとともに、国際誌、国内学会誌等への投稿を予定している。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度までに、本申請研究に必要な器具、備品は概ね購入済みであるため、平成25年度における高額器具、備品等の購入は予定していない。平成25年度は、特に筋線維および筋内結合組織の経時変化を引き続き解析する予定としているため、凍結切片作成、組織化学的染色、免疫組織化学的染色に必要な器具(消耗品)、抗体、試薬等の補充が必要となる。また、平成25年度には供試牛4頭の半丸枝肉解体調査およびサンプリングを予定しており、これに伴う消耗品、試薬等の購入も必要となる。これら一連の経費として研究費400000円の執行を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 黒毛和種、口之島野生化牛およびその交雑種における初期体成長比較2012

    • 著者名/発表者名
      大島一郎・石井大介・松元里志・廣瀬潤・木山孝茂・鎌田裕子・白坂清春・片平清美・山口浩・髙山耕二・中西良孝
    • 学会等名
      日本暖地畜産学会第5回大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121110-20121111

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公開日: 2014-07-24  

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