研究概要 |
本年度は,前年度に剖検した仔ブタの小腸粘膜免疫関連遺伝子活性,腸管内容物中免疫グロブリン濃度,及び小腸病理組織学的検査などを中心に解析を行った。即ち,母乳のみを摂取した1, 7, 14, 21, 28及び35日齢(1S, 7S, 14S, 21S, 28S, 35S),及び14, 21又は28日齢で強制離乳させた7及び14日後に3-4頭ずつを剖検した。 ①空腸及び回腸粘膜のリンパ球走化関連遺伝子(5種)発現:殆どの遺伝子が同じ傾向を示し,初生から発現が亢進し空腸では14Sで,回腸では21Sで最大となった。強制離乳で発現量が低下したが,空腸では28日齢以降の離乳で低下率が小さかった。②回腸及び盲腸内容物のイムノグロブリン濃度:総IgA濃度は初生から漸次減少し,どの離乳日齢でも離乳によって低値を示したが,盲腸総IgG濃度は逆に離乳で高値を示した。③小腸絨毛高さ:離乳日齢によって小腸絨毛は大きく影響を受けた。14日齢離乳7日後は,ほ乳継続豚よりもさらに絨毛は短くなり,小腸前半で顕著であった。その後離乳後14日を経過しても絨毛萎縮は回復しなかった。21日齢離乳豚の7日後でも前半は絨毛萎縮が顕著に認められたが,14日後には回復傾向が認められ,小腸後半では同日齢のほ乳豚よりも絨毛がむしろ伸張した。28日齢以降ではさらに離乳の影響は軽微になり,離乳後7日でも小腸後半で絨毛は伸張した。④回腸パイエル板断面積:14日齢離乳では離乳後パイエル板は萎縮したが,21日齢以降は一時的な萎縮は認められるものの,その後成長に伴ってリンパ装置の発達が確認できた。 以上などの結果から,免疫学及び病理組織学的な観点からも離乳時期は少なくとも21日齢以上,出来れば28日齢迄哺乳させることが産仔にとって好ましいと考えられた。
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