平成25年度には、ホーストレッキング時の種々のストレッサーに対するストレス応答の研究として、和種馬を対象とした測定を行った。トレッキングコース(森林vs草原)、および騎乗者(初級者vs中級者vs上級者)の違いによるウマのストレス応答の違いを心電図RR間隔変動解析を用いた自律神経活動の解析から評価した。平成24年度にも同様の測定を行ったが、より詳細な解析を目指して追加の実験を実施した。その結果、コースの違いおよび騎乗者の騎乗技術の違いによるウマのストレスの違いはないという前年度の結果を裏付ける結論を得た。しかし、それと同時に、運動を課さない対象区と異なり、トレッキング後はトレッキング前よりもウマのストレスが軽減されることも明らかとなった。現在、学術誌への投稿を目指して論文を作成しているところである。 研究期間全体を通じて実施した研究成果は、以下の通りである。1)日本在来馬が正常な歩法を維持できる騎乗者の適正体重は、直線走路を速歩で運動する条件下において、対州馬で100 kg未満、木曽馬で120 kg未満、与那国馬で70 kg未満であった。対州馬については学術誌にて公表済である。与那国馬については現在投稿中であり、木曽馬については投稿準備中である。2)日本在来馬の乗用馬としての操作性は北海道和種馬、対州馬、および木曽馬で予備実験を重ねたが、まだ結論を得るに至っていない。手法の見直しから再度検討することとしている。3)トレッキング時のウマのストレス応答については、当初の予想に反して、ストレスが軽減されるという結論を得た。引き続き、異なった条件下で新たな刺激を与えて解析を行う予定である。 以上、本研究で把握できた日本在来馬の特徴を現場に応用してウマのwelfareレベルを高めることにより、動物介在活動・療法・教育の安全性をさらに高めることができると考えられる。
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