研究課題
本研究課題の当初の目的は、人工授精(AI)施行後10日以内の妊娠初期に起こる母体の変化(血液中と生殖器中)を明らかにし、胚移植(ET)時の妊娠認識を補助することで受胎率の向上を試みることであった。平成23年度の研究結果から当初の予定を変更し、反芻動物の着床過程に関与する因子を同定することを目的とした。そこで先ず、着床過程を再現するin vitro系の構築を試みた。ウシ初代子宮内膜上皮細胞を播種した培養皿にウシ栄養膜細胞株CT-1細胞と濃度調整を行った着床周辺期の子宮灌流液を添加することによって、着床過程を再現するin vitro共培養系を確立することができた。このin vitro共培養系を用いることにより、着床過程に関与する因子(群)を検討することができるようになった。そこで、in vitro共培養系に用いている子宮灌流液中のプロテオミクス解析を行うとともに、子宮灌流液中の因子をどのように胚や子宮が認識するかを検討した。そこで、着目したのがプロテオグリカンである。プロテオグリカンの中でもバーシカンのみが、着床過程において発現し、子宮の基底膜および栄養膜細胞に局在していることを明らかにした。バーシカンは、子宮腔内に分泌された因子をトラップし、受容体に対する因子の結合を制御すること、また、免疫細胞の子宮基底膜における集積に関与することを明らかにした。現在、これらの結果を投稿準備中である。また、ウシ子宮内膜上皮細胞の不死化を試みた。その結果、不死化子宮内膜上皮細胞を樹立することができた。この結果についても現在投稿準備中である。最終年度となる本年度では、これらの研究成果を論文として投稿することができ、また、投稿準備中のものもいくつかある。当初の研究課題の目的と変わってしまったが、着床過程において多くの有意義な成果が得られたと考えている。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (1件)
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