研究概要 |
生理活性ペプチドは幅広い生理現象に深く関わっており、その研究は科学的な重要性とともに副作用が少なく新たな薬効を持った医薬品につながることが期待されている。すなわち新しい生理活性ペプチドを発見することは新たな生理機能の解明のみならず創薬へとつながる。本研究の目的は、新たに発見したショウジョウバエ新規生理活性ペプチド、idalin-1, idalin-2, dRYamide-1, dRYamide-2, trissinの情報を元にそのペプチドホモログを、ヒト・家畜から探索し、それがどのような生理作用を有するかを明らかにする事である。また、これらペプチドに対する遺伝子組換えショウジョウバエを作成し、種々の疾患モデルショウジョウバエを作出することを目的とした。当該年度はショウジョウバエにおいて発見した新規生理活性ペプチドの生化学的解析、生理的解析を行い、論文として2報、報告した BBRC : 2011a, 2011b)。さらに研究を進めた結果、興味深いことにショウジョウバエdRYamide-1,dRYamide-2の受容体に対してホ乳類ニューロペプチドY (NPY),ニューロペプチドFF (NPFF)は作用するが、逆にホ乳類NPY, NPFF受容体に対してはショウジョウバエdRYamide-1, dRYamide-2は作用しなかった。しかし、dRYamide-2をマウス、ラットに投与したところ、摂食行動の抑制、血圧、心拍数を増加させた。このことは、dRYamideに似たペプチドがホ乳類に存在し、NPY, NPFF以外の受容体に対して作用し機能を発揮している可能性が示唆された。今後、dRYamideが作用するホ乳類受容体を明らかにすることにより未知の生理活性ペプチドを発見するべく、研究を進めていく。
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