研究概要 |
本研究の目的は、新たに発見したショウジョウバエ新規生理活性ペプチド、CCHamide-1, CCHamide-2, dRYamide-1, dRYamide-2, trissinの情報を元にそのペプチドホモログを、ヒト・家畜または昆虫、甲殻類から探索し、それがどのような生理作用を有するかを明らかにする事である。また、これらペプチドに対する遺伝子組換えショウジョウバエを作成し、種々の疾患モデルショウジョウバエを作出することを目的とした。当該年度はショウジョウバエにおいて発見した新規生理活性ペプチドの生化学的解析、生理的解析を行い、論文として1報、報告した (Frontiers in Eendocrinol: in press)。さらに先に発見していたdRYamide-1のクロキンバエにおけるホモログを単離・同定し、ショウジョウバエでは行えない投与実験を行い、dRYamideに食欲のモチベーションを強力に抑制する作用を見出した。またクルマエビにおいてもdRYamide-1, dRYamide-2, CCHamide-2のホモログを単離・同定した。興味深いことにクルマエビにdRYamideを投与すると砂に潜る潜砂行動を誘発することを発見した。潜砂行動を誘発することが出来れば養殖後の稚エビ放流における外敵からの捕食を大幅に防げ、効率的な生産につなげることが可能であることが示唆された。ホ乳類でのホモログ探索は難航しているが、in silico検索により候補となる配列を約100個まで絞り込んでいる。今後、昆虫、甲殻類への産業的応用へと共に、ホ乳類でのホモログ探索を成功させたい。
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