• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

神経毒性発現機序におけるMARCKSの関与と神経毒性マーカーへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 23780298
研究機関鹿児島大学

研究代表者

白石 光也  鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (20383656)

キーワードメチル水銀 / MARCKS
研究概要

昨年度からの検討課題を継続して実施し、メチル水銀(MeHg)がMARCKS発現量とリン酸化への影響を明らかにすることができた。このMARCKSの役割は毒性学的にも重要であり、学会にて発表を行った他、論文を準備中である。
一方、そのメカニズムと一つとして、メチル水銀による細胞内Ca動態への影響が考えらたことから、メチル水銀、水銀(HgCl2)、カドミウム(CdCl2) 処置による細胞内Ca濃度への影響をヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞を用いて検討した。MeHg, HgCl2およびCdCl2 (0-30 μM)刺激により明らかなfura-2蛍光比の上昇が認められた。膜透過性の重金属キレート剤であるTPENを刺激3時間後に処置したところ、MeHgおよびHgCl2により上昇した蛍光比は約15%および30%減少した一方、CdCl2刺激により上昇した蛍光比はほぼbasal levelまで減少した。細胞外Caのキレート剤であるEGAT、Caチャネル阻害薬であるニフェジピンおよびLaCl3前処置の影響をarea under the curve (AUC)を用いて解析したところ、MeHg刺激による蛍光比の上昇はEGTA存在下では非存在下に比べ約60%抑制された一方、HgCl2での抑制は約40%であった。またMeHg刺激に対するCaチャネル阻害薬の影響はわずかであったが、HgCl2による蛍光比の上昇はLaCl3前処置によって約30%抑制された。以上の結果から、重金属によって刺激された細胞内ではCa以外の二価陽イオン濃度が変化している可能性が示唆され、また、MeHgおよびHgCl2はSH-SY5Y細胞においてCa流入とCa遊離により細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こすことが明らかとなり、メチル水銀を含む重金属による細胞内二価陽イオン動態の一端を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度と平成24年度の実験計画については、その大部分は計画通りに実施されており、概ね順調に進展していると思われる。一部の実験項目については、都合上平成25年度に実施を延期したものもあるが、メチル水銀以外の重金属による影響など、当初計画以上の成果も得られている。

今後の研究の推進方策

おおむね順調に進展しているものの、重要な課題の一つである脳の免疫組織学的検討については結果が得られておらず、今後は新規手法の適応も含め検討を進めていく。また、これまでの研究結果について、例数の追加など必要な実験を行い、学会・論文発表に向けた準備を進めていく。さらに、MARCKSのバイオマーカーとしての可能性を検討するため、血小板における解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

今年度は、これまでの実験手法に対する消耗品の購入に加え、論文発表に必要な英文校正経費、学会発表の参加費や旅費に使用する予定である。特に成果を広く公表するために、海外学会への参加を予定している。
また、一部実験項目の延期により生じた未使用金額については、今年度実施する際に消耗品の購入に用いる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] MARCKS dephosphorylation is involved in bradykinin-induced neurite outgrowth in neuroblastoma SH-SY5Y cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Tanabe, A., Shiraishi, M., Negishi, M., Saito, N., Tanabe, M. and Sasaki, Y.
    • 雑誌名

      J. Cell. Physiol.

      巻: 227 ページ: 618-29

    • DOI

      10.1002/jcp.22763.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased expression of aquaporin-4 with methylmercury exposure in the brain of the common marmoset.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, M., Takeya, M., Ikeshima-Kataoka, H., Yasui, M., Kawasaki, Y., Shiraishi, M., Majima, E., Shiraishi, S., Uezono, Y., Sasaki, M., Eto, K.
    • 雑誌名

      J. Toxicol. Sci.

      巻: 37 ページ: 749-63

    • DOI

      10.2131/jts.37.749

    • 査読あり
  • [学会発表] メチル水銀によるMARCKSリン酸化機序と毒性発現との関連.

    • 著者名/発表者名
      白石光也,半谷誠,佐々木眞敬,宮本篤.
    • 学会等名
      第154回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      岩手大学(盛岡市)
  • [学会発表] ブラジキニン刺激による神経突起伸長へのMARCKSリン酸化/脱リン酸化の関与.

    • 著者名/発表者名
      田辺敦弘, 白石光也, 佐々木泰治.
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)
  • [学会発表] メチル水銀の細胞毒性発現におけるMARCKSの役割.

    • 著者名/発表者名
      白石光也,半谷誠,佐々木眞敬,宮本篤.
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)
  • [学会発表] MPP+誘導性アポトーシスに対するMARCKSの関与.

    • 著者名/発表者名
      田辺敦弘,桜井祥太,白石光也,佐々木泰治.
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
  • [学会発表] 重金属による細胞内カルシウム濃度の変化とその特徴.

    • 著者名/発表者名
      大久保正人,宮本篤,白石光也.
    • 学会等名
      第155回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都)

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi