平成24年度はインターロイキン(IL)-19遺伝子欠損マウス(KO)を用いてハプテンであるオキサゾロンを用いてT細胞を主体とするIBDモデルを作製し、炎症性腸疾患におけるIL-19の免疫学的役割について検討を行った。 野生型マウス(WT)およびIL-19KOに、腹部をバリカンにより毛剃りを行ったのち、4%オキサゾロン150 uLを塗布した(前感作)。前感作より7日後、マウスにカテーテルを肛門から4 cm挿入した後、3%オキサゾロン100 uL)を直腸投与した。投与後、体重を5日間測定した。投与3日後、遠位結腸を採材しHE染色により炎症の程度を観察した。また、遠位結腸中のMPO活性をELISAキットにより測定し、炎症の指標とした。さらに、リンパ節を採材したのち、T細胞の増殖培養を行い、上清中に産生されるIFNgおよびIL-4の量をELISAアッセイにより測定した。 投与5日後までの体重を比較検討したところ、IL-19KOはWTよりも体重減少の程度が弱くなることが明らかとなった。HE染色像の観察によっても、IL-19KOはWTよりも上皮細胞の欠損および炎症性細胞の浸潤など、炎症の明らかな軽減が認められた。また、好中球浸潤を示すMPO活性においても、IL-19KOではWTより明らかに低値を示した。さらに、T細胞から産生されるIL-4量はWTの方が高く、IL-19KOでは減少が認められた。 以上の結果より、オキサゾロン誘発性炎症性腸疾患モデルにおいて、IL-19遺伝子欠損に伴い炎症の軽減が起こることが明らかとなった。
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