研究課題
インフルエンザウイルスのレセプター特異性と宿主の糖鎖レセプターの構造を詳細に明らかにし、異なる宿主間伝播に関与する因子を明らかにする目的で本研究を遂行した。インフルエンザウイルスのレセプターはシアル酸を末端に持つ糖鎖である。これらを特異的に認識するレクチンおよび糖鎖を認識する抗体を用いて、さまざまな哺乳動物と鳥のレセプター分布を調べた。鳥インフルエンザウイルスの伝播に重要なカモとニワトリの組織染色を行った結果、シアリルルイスXを認識する抗体を用いて、ニワトリの気管に特徴的なフコースの側鎖を有する糖鎖レセプターが発現していることが明らかとなった。さらに、インフルエンザウイルスのカモおよびニワトリへの感染性の違いが、ウイルスのヘマグルチニン分子によって、規定されていることを明らかにした。よって、ヘマグルチニンのレセプターへの吸着がカモとニワトリの種間伝播を担っていることが明らかになった。それらヘマグルチニン分子の糖鎖結合特異性を人工合成した糖鎖を用いて調べた結果、ニワトリのウイルスは、先に述べたシアリルルイスX構造を認識していることが分かった。以上により、本研究で新たにニワトリで発現する鳥インフルエンザの糖鎖レセプターを見出し、ニワトリでよく増殖するウイルスがそれらのレセプターを利用し増殖していることを明らかにした。本知見は、自然宿主であるカモのウイルスが、異なる宿主に感染する機序を明らかにしたということで、家禽の鳥インフルエンザの疾病制御、さらにはヒトへの感染リスクの軽減に役立つ知見である。
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