研究課題/領域番号 |
23780309
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野田 岳志 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00422410)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | エボラウイルス / ヌクレオカプシド / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
申請者はこれまでに、電子顕微鏡法により、エボラウイルスのNP-RNA複合体が成熟型ヌクレオカプシドのコアとなることと、成熟型ヌクレオカプシド形成にNP,VP24,VP35が必須であることを明らかにした。本研究では、さらに詳細なヌクレオカプシド形成機構を明らかにするために、i) NPのリン酸化、ii)VP35の機能、iii)ヌクレオカプシドの立体構造に着目し、生化学的・分子生物学的・構造学的手法を用いて、ヌクレオカプシド形成機構の解析を進めていく。 エボラウイルスが属するモノネガウイルス目には、公衆衛生学上重要な感染症を引き起こすウイルスが多く含まれる。NP-RNA複合体の基本構造に類似性が認められることからもわかるように、ヌクレオカプシド形成機構の骨子は、モノネガウイルス目で共通する点が多いと考えられる。本研究でエボラウイルスのヌクレオカプシド形成機構が明らかになれば、他のモノネガウイルス目の増殖機構の解明にも寄与できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、i) NPのリン酸化の意義、ii)VP35の機能、iii)ヌクレオカプシド立体構造の再構築、の3つの目標を設定した。 現在までに、ヌクレオカプシド形成においてNPとVP35の存在比が重要であることを明らかにし、国際誌に報告した(J Infect Dis, 2012)。また、ヌクレオカプシドの立体構造をクライオ電子顕微鏡により再構築し、その成果を国際誌に報告した(Proc Natl Acad Sci USA, 2012)。以上、目標の3つのうち2つを達成したため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、NPのリン酸化がウイルス増殖に与える影響に着目し、研究を推進する。具体的には、申請者が質量分析法にてすでに同定した5か所のリン酸化部位に変異を導入し、ミュータントシリーズを作製する。従来までにNPが有することが明らかにされている機能(ゲノムRNAの転写・複製能、細胞内輸送およびウイルス粒子内への取り込み効率を含むマトリクスタンパク質との相互作用)に着目し、リン酸化がそれらにどのような影響を与えるかを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、生化学的アッセイならびに分子生物学的アッセイを行うため、細胞培養液・試薬・酵素・キット類などの消耗品を多数購入する。
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