研究概要 |
計画書-3のRVFV-Lのロイシンジッパー(Zip)を介したRNA合成機構の解明、および、-4のウイルス抑制の検討を行った。また、昨年度までに明らかとなった、Zipと分子内会合するLのC末端領域について詳細な解析を行った。Zipの各ロイシン残基を1残基置換したミュータントを用い、ウイルスセンス(-鎖)あるいはアンチセンス(+鎖)のミニゲノムを細胞内に供給することによって、RVFV-Lが合成するRNA産物をノーザンブロットで確認した。-、+に関わらず、L200V,L207V,L207Pなど200,207位のミュータントを発現した細胞内では、ゲノム複製によるRNA産物が著しく減少しており、Zipが両方向(+→-、-→+)のRNA複製に重要であることが示唆された。次に、Zipと分子内会合する領域を探索するためにC末端のアミノ酸シークエンスを詳細に調べたところ、ロイシン及び類似アミノ酸が7残基ごと(L-x6-I-x6-L-x6-A)にある、ロイシンジッパー様の配列が見つかった。そこで、各アミノ酸残基をプロリンに置換した(1残基置換)ミュータントを使ったミニゲノム、およびBIFCアッセイを行ったところ、Zip同様、RNA複製、トランスクリプション能力が著しく低下しており、また、Lの分子内会合もみられなかった。このことから、N末端のZip領域および、C末端を介した分子内会合がRNA合成に重要であことが強く示唆された。これは、結晶構造で明らかとなっている+鎖RNAウイルスのもつポリメラーゼがN-とC-末端領域を介してリング構造をとること関連していると考えられ、-鎖ウイルスでは初めて、詳細なアミノ酸領域を決定した。最後に、Zip領域に加え、上記で重要であることが明らかとなったC末端領域、あるいはその上流あるいは下流領域を含めたフラグメントを細胞内に強発現させ、L蛋白によるRNA合成、及びウイルス増殖への影響を調べた。しかし、どのフラグメントであっても、阻害効果を認めることはできなかった。
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