研究課題/領域番号 |
23780321
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柴田 早苗 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20588917)
|
キーワード | 犬アトピー性皮膚炎 / ケラチノサイト / HB-EGF |
研究概要 |
イヌのアトピー性皮膚炎(AD)の免疫病態には、ケモカインであるCCL17/TARCが重要な役割を果たしていると考えられている。皮膚病変部におけるケラチノサイトによって産生されたCCL17は、末梢血中からリンパ球を遊走させ、アレルギー炎症を誘導する。応募者のこれまでの研究から、イヌケラチノサイトにおけるCCL17転写はおもにTNF-αによって誘導され、p38によって正に、ERKによって負に調節されていることが明らかとなった。このことから、p38およびERKがイヌアトピー性皮膚炎治療のための標的分子となりうることが示唆された。具体的には、p38阻害剤によってp38活性化を阻害あるいは、ERK活性化剤によってERK活性化を誘導することによって、ケラチノサイトからのCCL17産生を制御することができると考えた。そこで本研究では、シグナル伝達分子を標的としたCCL17産生の制御によるイヌAD新規治療法の開発を目的とした。シグナル伝達分子として、ERKの活性化因子であるEpidermal Growth Factor(EGF)に着目した。EGFファミリーの中でも特に、皮膚において重要な役割を果たすと考えられており、HB-EGFに着目して研究を実施した。当初の計画では、今年度にEGFをケラチノサイトに添加する実験を実施したものの、検出系の問題から、データを得ることが困難であった。そのため、並行してサイトカイン存在下でのケラチノサイトにおけるEGF発現解析を行うための準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの研究計画では、アトピー性皮膚炎に罹患している犬から採材した皮膚を用いた研究を基軸にしてきたが、飼い主がいるアトピー性皮膚炎の犬から皮膚を採材することは大変難しく、皮膚を集めるのが困難な状況である。そのため、細胞実験計画を進めていたが、検出系に問題があることなどから、進行が遅れている。また、小動物診療業務が想像以上に忙しく、一日のほとんどを臨床に取られていることなどから、研究が遅れている状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
TNF-α、IL-1βといった炎症性サイトカイン存在下でのケラチノサイトにおけるEGF発現解析を行う予定である。ウエスタンブロッティングあるいはリアルタイムRT-PCRを用いて解析を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、平成25年度中にEGFを用いたケラチノサイトへの添加実験を実施し、その結果を取りまとめる予定であった。しかし、サイトカイン存在下でのケラチノサイトにおけるEGF発現解析を行う方が成果が期待できる可能性があり、急遽その準備を整える必要が生じたため。 今年度未使用額に関しては、平成26年度にEGF発現解析に必要なウエスタンブロッティング試薬およびリアルタイムRT-PCR試薬の購入に使用する予定である。
|