研究課題/領域番号 |
23780325
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
秋吉 秀保 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50420740)
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キーワード | 犬 / リンパ腫 / 分子標的薬 / 抗体薬 / キメラ抗体 |
研究概要 |
H25年度はH24年度に作製した、犬のCD20、CD25およびシンデカン4(SD4)に対する抗体提示ファージライブラリーから、H23年度に作製したそれぞれの遺伝子組換えタンパクを用いて固相法により目的とする抗体を提示するファージ集団の濃縮、効率よく犬の標的分子に結合する抗体遺伝子の選別を試みた。 1)SD4に関しては、目的とするファージ集団の濃縮が可能で、犬の遺伝子組換えSD4に結合するFab遺伝子を選択することができた。具体的には、抗原を固相化→ファージライブラリーとの結合反応 →洗浄→抗原結合ファージの溶出→大腸菌への感染・増幅を繰り返し行なう事により、濃縮した。最終ラウンドの後、可溶性 Fab を発現するプラスミドに 転換し、可溶性 Fab を調整し、得られた可溶性 Fab を用いて遺伝子組換えSD4タンパクに特異的に結合 する Fab を選択した。現在、作製した可溶性 Fab の抗原に対する親和性、特異性および交差反応性などについて詳細に検討している。同時にH23年度に作製した犬のCLおよびCH遺伝子を組み込んだプラスミドベクターに挿入することで、抗イヌSD4キメラ抗体の発現系を構築している。 2)犬のCD20およびCD25に結合する、効率の高いFab遺伝子を選別することが出来なかった。原因として、作製した抗体提示ファージライブラリの多様性が低いことが考慮されたため、これらについて、別の発現系を用いて作製した抗原を用意し、マウスに免疫することを計画している。 3)犬のリンパ腫サンプルは概ね計画通り採集することが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で設定した標的分子である犬のCD20、CD25およびSD4のうち、SD4に関しては効率の高いFab遺伝子を選択することが可能で、可溶性Fabを得る事ができた。一方で、CD20およびCD25に関しては、効率よく結合するFab遺伝子の選択および可溶性Fabを発現させることが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は、SD4に関する犬キメラ抗体の作製と特性解析、CD20およびCD25抗原の作製後、抗体提示ファージライブラリーの作成、Fab遺伝子の選択、可溶性Fabの分取、これらの遺伝子を基にしたキメラ抗体の作製を計画している。また、継続してリンパ腫サンプルの最終を行う予定である。これらについて、遺伝子組換えタンパクの分取など分子生物学的研究手法に関して造詣の深い竹中重雄准教授に助言を得る。また、研究全般を通して、テキサス大学有泉清准教授にアイデアの提供と適宜助言を得て、不測の事態が生じないように最大限配慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は前年度に作製した抗体提示ファージライブラリーを基にCD20、CD25およびSD4に対して結合するFab遺伝子の選別を実施したが、SD4に関しては選択することが可能であったが、CD20およびCD25に対して効果的に結合するFab遺伝子の選別できなかった。そのため、別の方法により犬のCD20およびCD25タンパクを作製し、これを抗原としてマウスに再度免疫し、抗体提示ファージラブラリーを作製する計画とした。 H26年度は、CD20およびCD25に対する抗体提示ファージライブラリーの作成後、Fab遺伝子を選択し、可溶性Fabを分取するとともに、これらの遺伝子を基にキメラ抗体の作製を計画している。従って、プラスミドベクターの構築、CHO細胞培養、抗体精製に関連する消耗品、サンプル輸送費として使用する計画である。
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