研究課題/領域番号 |
23780328
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
森 昭博 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (60549559)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 糖尿病犬 / 運動療法 |
研究概要 |
平成23年度は正常犬における長期の運動療法の影響の検討を行った。その理由として糖尿病犬における運動療法の影響を確認する前に、まず低血糖などのリスクが少ない、正常犬において運動を継続的に行い以下のパラメーターへの影響を確認した。測定項目は血漿代謝産物およびサイトカインの定量を行い、クレアチニンキナーゼや乳酸脱水素酵素において運動後に変動が認められた。次に静脈内糖負荷試験によるインスリン抵抗性の評価を行った。しかしながら、運動前後で血糖値およびインスリンの推移に有意な変動は認められなかった。また、人工膵臓装置を用いた正常血糖クランプ法によるインスリン抵抗性の評価も行った。運動後に有意なインスリン感受性の増加が認められた。運動前後で全身麻酔により骨格筋を採取し、各種遺伝子のmRNA発現量の解析を行った。AMPK、Glut 4およびインスリンシグナリング遺伝子(IRS-1, IRS-2, PI3-Kinase)のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法で測定し、AMPKおよびGlut4のmRNA量に有意な変動が認められた。この結果からトレッドミルを用いた最適な運動方法および運動量および回数を検討し、糖尿病犬における運動療法へ発展させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究の目的は、正常犬において運動療法を行い、様々なパラメーターを測定することにより、糖尿病犬における運動療法の基準を作成することであり、その目標は達成できたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の計画では平成23年度の成果をもとに、実際に糖尿病犬に運動療法を行い、血漿代謝産物の測定と静脈内糖負荷試験の評価、人工膵臓装置を用いた正常血糖クランプ法によるインスリン抵抗性の評価および骨格筋のバイオプシーを行い、各種遺伝子のmRNA発現を検討する。長期の運動療法を行っている間はインスリン投与量、食事量は変更しない。インスリンは犬の糖尿病において一般的に使用される中間作用型のNPHインスリンを用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
人工膵臓の消耗品、リアルタイムPCRを行うための試薬およびインスリン測定のための、ELISAキットの購入に充てられる。また情報収集のための学会参加や学会発表のための旅費にも充てられる。
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