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2012 年度 実施状況報告書

硫黄高含有生態系における硫黄脱窒による窒素循環と硫黄循環のリンク

研究課題

研究課題/領域番号 23780340
研究機関秋田県立大学

研究代表者

早川 敦  秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (10450280)

キーワード硫黄脱窒 / パイライト / 易酸化性硫黄 / 地質 / 窒素循環
研究概要

これまでの既往の多くの研究では、脱窒の電子供与体として有機物が注目されてきたが、還元型の硫黄も脱窒の電子供与体となりうる。したがって、含硫鉱物の豊富な秋田県では、還元型の硫黄を電子供与体とした脱窒(硫黄脱窒)が卓越しているかもしれない。しかし、生態系における堆積物や土壌中の還元型の硫黄(例えば、パイライト)の酸化に伴う硝酸イオンの消費および亜酸化窒素(N2O)の発生に関する報告例は限られる。本研究の目的は、生態系における硫黄脱窒の可能性と生態系内におけるそのプロセスの相対的な大きさを評価し、水質およびN2O発生へおよぼす影響を明らかにすることである。本年度は、パイライトを含有していると考えられる秋田県大潟村内において、0-2 mにおける深度別の脱窒能と土壌の理化学性を測定し、硫黄脱窒の可能性を検討した。その結果、脱窒の電子供与体となりうる還元型の易酸化性硫黄含量が40-120 cmで増加した。深度60-80 cmでは、NO3-N含量の急激な減少とSO4-S含量の増加が見られ、易酸化性硫黄含量も高かったことから、硫黄脱窒が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大潟村内の0-2 mにおける深度別の脱窒能を測定し、堆積物の理化学性(易酸化性硫黄含量、X線回折による鉱物組成の解析)の測定も概ね予定通り実施できた。微生物群集構造の解析にも着手し、培養・分析条件はほぼ確立できた。

今後の研究の推進方策

次年度は、硫黄脱窒の下層深度30 mまでの鉛直分布を測定し、さらに大潟村内における深度0-2 mにおける空間分布の評価を実施する。パイライトを含有していると考えられる大潟村内1地点において、表層から下層(0-30 m)までの土壌をボーリングにより採取し、深度別の脱窒活性を測定するとともに、土壌の理化学性を測定する。また、硫黄脱窒の空間分布を評価するために、大潟村内10地点ほどで、0-2 mまでの土壌をエンジン付き採土器により採取し、脱窒能および理化学性を測定する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は、調査・打合せ旅費、国内学会発表(日本地球惑星科学連合)および国際学会発表(AGU:アメリカ地球物理学連合)の旅費、湖底土採取のための傭船料と船頭の謝金、英文校閲および学会誌投稿料、土壌・地下水採取器具費、分析消耗品費として使用することを予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Nitrate reduction coupled with pyrite oxidation in the surface sediments of a sulfide-rich ecosystem2013

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa A., Hatakeyama M., Asano R., Ishikawa Y., Hidaka S.
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Biogeosciences

      巻: 118 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1002/jgrg.20060

    • 査読あり
  • [学会発表] Catchment topography and distribution of electron donors for denitrification control stream NO3- concentration in the Lake Hachiro watershed, Akita, Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Hayakawa, Yu Funaki, Tatsuya Sudo, Shintaro Watanabe, Yuichi Ishikawa, Shin Hidaka
    • 学会等名
      AGU fall meeting
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      20121202-20121206
  • [学会発表] 八郎湖流域の渓流水リン酸濃度は高い-空間分布とその規定要因-2012

    • 著者名/発表者名
      早川敦、須藤達也、渡邊慎太郎、石川祐一、日高伸
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      鳥取大学、鳥取
    • 年月日
      20120904-20120906
  • [学会発表] 地形が渓流水硝酸濃度と堆積物の脱窒を制御する2012

    • 著者名/発表者名
      早川敦、船木優、須藤達也、渡邊慎太郎、石川祐一、日高伸
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合 生物地球化学セッション
    • 発表場所
      幕張メッセ、千葉
    • 年月日
      20120520-20120525

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公開日: 2014-07-24  

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