研究課題
ジアミンのプトレシン、トリアミンのスペルミジン、テトラアミンのスペルミンを代表とするポリアミンは、植物の生長制御に必須であるばかりでなく、様々な環境ストレス耐性にも寄与する機能分子である事が示唆されている。そこで本研究では、ポリアミンの高機能を農作物の生産性向上に応用すべく、特に知見が乏しいポリアミン分解系の理解と、ポリアミン個々の機能を明確にする事を目的とした。植物体内のポリアミンは、ポリアミンオキシターゼ(PAO)によって分解される事が知られている。データーベース上に存在するPAOアミノ酸配列を用いた分子系統解析の結果、単子葉植物、もしくは、双子葉植物のPAOのみから構成されるグループと、双方が混在する3つのグループに分類分けされた。そこで、双子葉植物としてシロイヌナズナの全PAOの特徴付けを行うと共に、単子葉植物としてイネの全PAOに着目した詳細な機能解析を行った。イネの様々な組織別遺伝子群発現解析の結果、単子葉植物・双子葉植物双方のPAOが混在するグループに属する3種類の遺伝子のみが高発現している事、これらのタンパク質は全てペルオキシゾームに局在し、スペルミンからスペルミジンへ、もしくは、スペルミジンからプトレシンへと前駆物質に分解するバックコンバージョン活性を有する事を明らかとした。また、近年発見された維管束分化を制御するテトラアミンであるサーモスペルミンは、スペルミンと同様、病原菌に対する植物の免疫力を活性化させる機能分子であり、サーモスペルミンを処理した植物葉では、ウイルスに対する抵抗性反応が強まる事を明らかとした。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Plant Cell Rep
巻: Vol.31 ページ: 1227-1232
DOI:10.1007/s00299-012-1243-y