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2011 年度 実施状況報告書

植物のキチンオリゴ糖エリシター受容体タンパク質の構造と機能

研究課題

研究課題/領域番号 23780349
研究機関近畿大学

研究代表者

大沼 貴之  近畿大学, 農学部, 助教 (60446482)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードITC / キチンオリゴ糖
研究概要

CERK1の細胞外には、三つのLysMドメイン(LysM1、LysM2、LysM3)がタンデムに存在している。細胞外ドメイン全長の発現を試みたが、可溶性タンパク質として発現されたものの、機能解析を行うために必要な、正しくホールディングされたタンパク質を得ることはできなかった。LysM1とLysM2をチオレドキシンとの融合タンパク質として発現させると、可溶性タンパク質として発現されることを確認した。チオレドキシンタグはプロテアーゼ処理によって融合タンパク質から切り離し、LysMドメインのみの単離を試みた。しかし、使用したエンテロキナーゼがLysMドメイン自体も分解してしまうことから、プロテアーゼを使用しないタグ切断方法を検討した。インテインを用いたプロテインスプライシングによりタグタンパク質の切断と除去を行った結果、LysM1をSDS-PAGEで均一なまでに精製することに成功した。本発現系と安定同位体15N-NH4Clを含むM9培地でLysM1を発現後、精製、0.1 mMまで濃縮し、NMR測定用のサンプルとした。この発現系および精製スキームは、他のLysM2およびLysM3のサンプル調製にも適用可能と予想している。CHRK1の細胞外ドメインの発現も同様に、ドメイン単独での発現を試みたが、不溶性タンパク質として生産された。チオレドキシンとの融合タンパク質として発現すると、可溶性画分に発現されたため、アフィニティークロマトグラフィーによる精製を試みた。しかしながら、目的タンパク質は素通り画分に認められ、精製することはできなかった。不溶性画分に発現されたチオレドキシン融合タンパク質は、6M尿素で可溶化後、アフィニティークロマトグラフィーによりSDS-PAGEで均一なまでに精製した。精製したタンパク質の巻き戻し条件を検討することにより、構造機能解析の実験に移れるものと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画の段階において、研究対象とした二つのタンパク質およびそのドメインの大量発現系構築には成功していた。しかしながら、発現タンパク質を精製後、ゲル濾過クロマトグラフィーによる分子量測定を行ったところ、両タンパク質共にカラムの排除限界分子量以上の分子量をもつタンパク質と同じ溶出位置で溶出された。このことから、目的タンパク質は正しくフォールディングされず、そのままでは構造機能解析に適さない凝集体を形成していることが予測された。そこで、発現ベクターの変更を含む、発現系の再構築を行った。LysMドメインについては、チオレドキシンとの融合タンパク質として発現させると可溶性画分に大量に発現され、精製も容易に行えることが判明したが、タグ切断のためのエンテロキナーゼ処理による目的タンパク質自体の分解が問題となった。このため、再度ベクター変更を行い、pTYBを用いたインテインシステムの採用により、LysMドメインのみの発現と精製が可能であることを見出した。CHRK1の細胞外ドメインについても、予想に反して可溶性画分からの直接精製はできなかったため、チオレドキシンとの融合タンパク質として発現させる発現ベクターを再度作製した。このように、二つのタンパク質およびそのドメインの発現系の再検討、再構築が必要であったことから、現在までの達成度は計画よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

CERK1のLysM1については、NMRによる測定が可能なサンプルの調製を終えていることから、二次元NMR 1H-15N HSQCスペクトルの測定を行う。良好なスペクトルが得られるよう、緩衝液の種類、pH、および塩濃度の調整後、各NMRシグナルのアミノ酸残基への帰属を行うための三次元NMRスペクトル測定に移る。LysM1の解析が順調に進行したならば、並行してLysM2およびLysM3の発現系の構築、および安定同位体でラベルしたNMR測定用サンプルの調製を行う。また、ノンラベルの各LysMタンパク質の精製標品をそれぞれ数mg程度得、キチンオリゴ糖をリガンドとしたITC測定を行う。5 mg/mL程度に濃縮したLysMタンパク質を用いて、500条件下での結晶化も行う。CRHK1の細胞外ドメインについては、リフォールディング条件の検討を行う。精製タンパク質のゲル濾過クロマトグラフィーにおける溶出パターンが、単分散になるまで、条件の検討を繰り返す。単分散している目的タンパク質が得られたならば、LysMタンパク質と同様に必要量精製後、結晶化およびITC測定を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度には、目的タンパク質の発現、精製に必要な遺伝子実験試薬、振とう培養器、クロマトグラフィー用カラム、タンパク質結晶観察用顕微鏡等を主に購入した。24年度は、主に精製した目的タンパク質の解析に必要な以下の試薬類の購入を計画している。NMR滴定実験により、キチンオリゴ糖結合に関与するアミノ酸残基の同定を行うためのタンパク質ラベル化試薬13C-グルコースと15N-NH4Cl(20万円)。NMR滴定実験、LysMドメインおよびCHRK1細胞外ドメインとキチンオリゴ糖複合体構造決定、ITC測定に用いるキチンオリゴ糖2~6糖(10万円)。不足しているタンパク質結晶化試薬300条件分(30万円)および結晶化プレート(10万円)変異体作製用オリゴDNAおよび遺伝子操作関連試薬(10万円)

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] LysMドメイン(CBM50)のキチンオリゴ糖結合様式

    • 著者名/発表者名
      大沼貴之、翁長 彰子、平良東紀、深溝慶
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      平成23年3月24日

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公開日: 2013-07-10  

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