研究課題/領域番号 |
23780351
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
白井 温子 独立行政法人理化学研究所, 眞貝細胞記憶研究室, 研究員 (60525575)
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キーワード | ヘテロクロマチン / ユビキチン化 / 非ヒストン |
研究概要 |
ヘテロクロマチンは発生や疾患におけるエピジェネティックな遺伝子発現抑制など、様々な生命現象に重要な役割を果たす最も代表的な高次クロマチン構造であるが、その形成の仕組みの詳細は未だに不明な点が多い。このヘテロクロマチン形成にユビキチン化が関与することを示唆する知見が2004年に発表されたが、ユビキチン化修飾をうけるヘテロクロマチン因子は現在に至るまで不明なままである。さらに、最近ではユビキチン化修飾は関係ないのではないかという議論までが起こっている。本研究では、申請者が見出したユビキチン化修飾を受けるヘテロクロマチン関連因子に注目し、ヘテロクロマチン形成におけるユビキチン化が果たす役割の解明を目的としている。本年度は、前年度までに見出したヘテロクロマチン関連ユビキチン化タンパク質の候補25種類の中からCul4ユビキチンリガーゼの構成因子をコードするrik1やclr4を破壊した約200株を作製し、Cul4ユビキチンリガーゼによってユビキチン化されるタンパク質の同定を行った結果、2種類のタンパク質を基質の候補として見出した。そのうちの一つはRNAポリメラーゼII複合体の構成因子であった。ヘテロクロマチン領域に限らず転写を担っているRNAポリメラーゼIIだが、ヘテロクロマチン領域での活性の制御については不明なままである。今後、ヘテロクロマチン領域でのユビキチン修飾によるRNAポリメラーゼII の転写活性の制御について検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cul4ユビキチンリガーゼの構成因子Rik1やClr4によって制御されている、タンパク質を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
動物細胞では、Cul4ユビキチンリガーゼ複合体によってヘテロクロマチン形成が制御されているか未だ不明なままである。そこで、本研究で明らかにしたCul4-Clr4/Suv39H1によって制御されるRNAポリメラーゼII複合体の構成因子のユビキチン化修飾が動物細胞でも保存されているかヒトおよびマウス細胞株を用いて、検討する。また、RNAポリメラーゼIIの構成因子のユビキチン化部位をMS/MSを用いて同定した後、その変異体を作製して、クロマチン免疫沈降法(ChIP)により各タンパク質のヘテロクロマチン局在やヒストンH3 K9 のメチル化の有無を確認することで、ユビキチン化がヘテロクロマチンへのターゲティングに関与しているかどうかを検証する。さらに、GFPを融合したmajor satelliteをFlp-inシステムを利用してゲノムに挿入して、Cul4ユビキチンリガーゼ複合体をshRNAを用いてノックダウンすることにより、ヘテロクロマチン形成に影響を与えるか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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