研究概要 |
Rh2(S-TBPTTL)4を用いたα-アルキル-α-ジアゾエステルの不斉カルベン反応の開発について検討を行い、本年度は以下の知見を得ることができた。 1. α-ジアゾプロピオン酸2,4-ジメチル-3-ペンチルを用い、反応性の低い脂肪族末端アルキンの不斉シクロプロペン化を行ったところ、対応する光学活性シクロプロペン誘導体が良好な収率かつ90%の不斉収率で得られることが分かった。また、1-フェニル-1-プロピンを基質とした場合、シクロプロペン誘導体の収率は極めて低いものの、99%以上の不斉収率が得られることが分かった。 2. α-ジアゾプロピオナートを用いたスチレンの不斉シクロプロパン化を行うと、不斉第四級炭素をもつシクロプロパン誘導体が高収率・極めて高いジアステレオ選択性かつ良好なエナンチオ選択性で得られることが分かった。特にエステル部がtert-ブチルエステルの場合、不斉収率は92%に達することが分かった。本法はベンゼン環上に種々の置換基を持つスチレン誘導体、1-および2-ビニルナフタレンおよび(E)-1-フェニルブタジエンが基質として適用可能であることであり、非常に高い不斉収率が得られた。一方、α-ジアゾブタノアート、α-ジアゾペンタノアート等のα-アルキル-α-ジアゾエステルの場合、エステル部を2,4-ジメチル-3-ペンチルエステルとすることにより良好な不斉収率が得られることが分かった。
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