本研究では、チグリアン、ダフナンテルペノイドに代表される5/7/6員環が縮環した炭素骨格を有するジテルペノイドの統一的合成戦略確立を視野にいれ、クロトフォルボロンの全合成研究を遂行した。平成24年度は、前年度に確立した橋頭位ラジカルを用いた炭素環連結法を活用し、クロトフォルボロンの重要な炭素骨格を構築し、全合成完了に極めて近い成果を得る事ができた。 前年度に合成したクロトフォルボロンの炭素骨格を有する中間体から4工程の変換を経て、クロトフォルボロンとほぼ同じ極性官能基を有する中間体を合成した。全合成を達成するために残る工程は、立体的に込み入った5員環ケトンのアルファア位への水酸基導入である。この変換反応は困難が予想されるため、より合成が容易な単純な基質を用いてモデル実験を遂行した。その結果、Davis試薬を用いた場合に効率的に水酸基を導入できる事が分かった。これにより、ごく近い将来、クロトフォルボロンの全合成が達成できると考えている。
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