(1)アルコールのベンジル化剤DMT-BMに対して種々の構造変換を行った結果、それぞれの置換基によって反応性が大きく変化すること、その疎水性の程度によって溶解性が向上することが分かった。これらの知見を基に、構造の最適化を行った結果、反応性・溶解性の向上が見られ、室温、2時間で反応が進行する優れたベンジル化剤が合成できた。反応条件についても最適化を行い、共存する塩基と溶媒の組み合わせが重要であることがわかり、ほぼ中性条件で反応を行うことができ、酸に弱い基質への適用範囲の拡大ができた。さらに本反応剤の速度論解析も行い、その反応形式を明らかにした。これらの結果については学会で発表し、現在論文執筆中である。 (2)アルコールに対するベンジル化のみならず、他の基質への適用を調べた結果、いくつかの基質に対して非常に興味深い結果が得られた。これらについてその反応性を調査し、新たな反応を開発することができた。この成果に関しては学会発表を行った。 (3)この反応剤の構造的特徴であるトリアジン環の性質を利用し、安定性・アトムエコノミーに優れた酸触媒ベンジル化剤TriBOTを開発した。TriBOTは従来法の①コストがかかる②熱や湿気に不安定③反応条件が限定されている。といった問題点を克服した優れた反応剤である。この成果に関して学会発表を行い、論文に掲載された(Organic letters誌)。現在この反応剤は、市販されている。さらに様々な置換基を変更した誘導体も合成し、学会発表を行った。
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