本研究により、炭素―水素結合の求核的活性化を経由する触媒的不斉付加反応を開発し、これまで合成が困難であった不斉四置換炭素を有するαアミノ酸誘導体をプロトン移動のみで得ることに成功した。本反応は室温かそれ以下の温和な条件下で進行し、通常共存が困難な酸性・塩基性に不安定な官能基を有する基質へも適用可能であった。 また、本反応の詳細な反応機構解析を実施し、触媒活性種を単離・構造決定することに成功した。この触媒活性種を用いることで、従来よりも反応時間を大幅に短縮することができ、さらに従来反応性に乏しかった他の基質についても目的の不斉四置換炭素含有αアミノ酸誘導体を得ることに成功した。
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