研究課題/領域番号 |
23790025
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
李 巍 東邦大学, 薬学部, 准教授 (90328633)
|
キーワード | 薬学 |
研究概要 |
本研究は新規糖尿病治療薬のシーズ化合物の発見を研究目標として、生薬および天然有機化合物ライブラリーを用いてプロテインチロシンホスファターゼ1B(PTP1B)阻害活性を評価した。優れたPTP1B阻害活性示した生薬抽出物について、更にBioassay-guided fractionation法により活性成分の同定を行った。 バラ科植物Sorbus pohuashanensis果実の70%エタノール抽出物より得られた7種のトリテルペン化合物は顕著なPTP1B阻害活性を示し、そのうち、pomolic acid 3-acetate、ursolic acid 3-acetate、およびbetulinic acidは最も強いPTP1B阻害活性を示した。 一方、生薬甘草由来の42種のフラボノイドについてPTP1B阻害活性を評価したところ、新たに4種のプレニルフラボノイドが顕著なPTP1B阻害活性を示した。 これら化合物について、更に酵素阻害速度論解析による阻害形式、PTP酵素に対する選択性およびpAKTの発現を指標とする細胞内インスリン経路に対する影響を調べた結果、甘草由来のプレニルフラボノイドglycybenzofuranがいずれの評価系においてもポジティブな結果を示し、PTP1Bを標的とする新しい抗糖尿病薬発見のシーズ化合物として期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は新規糖尿病治療薬のシーズ化合物の発見を研究目標として、伝承医薬に用いられている薬用植物からPTP1B阻害作用を有する化合物の探索、ケミカルバイオロジーの研究手法によりこれら化合物の構造活性相関と阻害作用機序を解明を研究目的とする。24年度の研究において、新たに新規PTP1B阻害活性を有する化合物を発見したと共に、より糖尿病の病態に近い細胞実験に用いても、インスリンシグナル増強に有益な化合物の発見が出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は2つの方向で研究を推進する予定である。1、新しいPTP1B阻害活性成分の発見を目指して、更に多くの化合物の活性評価を実施する。2、天然由来のPTP1B阻害剤であるトリテルペンおよびプレニルフラボノイドの構造活性相関を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究はおおむね計画通り進んでいたが、学会での発表は24年度に未実施したため、当初予定していた旅費の部分が発生されなかった。 24年度の研究費残額および25年度の研究費を合わせて、次の項目に使用する予定である。 1)最終年度である25年度に実施する予定である天然成分の化学修飾、細胞レベルのインスリン経路に対する影響など実験に使用物品費。 2)研究結果の発表に使用する予定の学会参加旅費。
|