研究課題/領域番号 |
23790028
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
中村 誠宏 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20411035)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メディシナルフラワー / 抗老化作用 / 伝承薬物 / メラニン生成抑制作用 / Camellia japonica / Nelumbo nucifera / トリテルペン配糖体 / アポロフィン型アルカロイド |
研究概要 |
本研究は、メディシナルフラワー (薬用花) に着目し、抗老化関連物質の開拓を志向した探索研究を実施することを目的とする。すなわち、食経験があるなど安全性が確立している薬用花を厳選・探索資源とし、抗老化関連物質を効率よく探索する。今年度は、ツバキ (Camellia japonica) 花部およびハス (Nelumbo nucifera) 花部のエキスに有意なマウスメラノーマ由来 B16-4A5 細胞におけるメラニン生成抑制作用を見出したことから、その活性成分の探索を行った。すなわち、ツバキ科植物ツバキ (C. japonica) 花部は古来より日本、中国おいて、抗炎症薬、吐血および出血時の治療薬等に用いられている.中国雲南省産ツバキ (C. japonica) 花部のエキスにメラニン生成抑制活性を見出したことから、そのメタノール抽出エキスを、溶媒分配し、活性の集約していた 1-ブタノール移行部を各種クロマトグラフィーにて繰り返し分離精製した。その結果、既知サポニン成分とともに 4 種のアシル化された新規オレアナン型トリテルペン配糖体を単離した。また、サポニン成分がメラニン生成抑制活性を有することを見出し、アシル基の有無やアグリコン部への結合位置が活性に重要であることを明らかにした。一方、ハス (N. nucifera) はインド、中国原産の大型多年生水生草本である。その根茎は食用にされる他、花部は東南アジア地域で飲料素材として広く利用されている。タイ産ハス花部抽出エキスにメラニン生成抑制活性を見出したことから、その活性成分の探索を行ったところ、6 種のアルカロイドを含む計 10 種の既知成分を単離することができ、nuciferine などアポロフィン型アルカロイドに有意な活性を見出した。また、N 位のメチル基が強い活性の発現に必須であるなど構造と活性に関する知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々のメディシナルフラワー (薬用花) のエキスおよび含有成分に皮膚の老化の観点などにおいて重要だと考えられるメラニン生成抑制作用を見出すとともに、構造活性相関における知見を得る事ができた。平成 23 年度の当初計画をほぼ達成したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、食経験があるなど安全性が確立している種々のメディシナルフラワー (薬用花) から抗老化関連物質の探索を行うとともに、有望な成分については活性発現の必須構造など構造上の特徴と薬理活性との関連性を検討する。また、有望な成分の作用メカニズムの解明研究を行い、新しい抗老化関連物質および機能性素材の開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、有機溶媒、シリカゲル等の抽出分離用試薬、細胞培養用試薬、測定用試薬等のバイオアッセイ用試薬、フラスコ等のガラス器具、細胞培用プラスチック器具、マウス等の実験動物を購入する予定である。一方、本研究の実施に必要な設備、機器は既にそろっており、購入する予定はない。
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