研究概要 |
本研究は.メディシナルフラワー (薬用花) に着目し.抗老化関連物質の開拓を志向した探索研究を実施する.すなわち.食経験があるなど安全性が確立している薬用花を厳選・探索資源とし.抗老化関連物質を効率よく探索する.最終年度は,古来より東南アジア諸国において,降圧,鎮静薬等に用いられてきたタイ産バンレイシ科植物イランイランノキ (Cananga odorata) 花部のエキスにマウスメラノーマ由来 B16 melanoma 4A5 細胞におけるメラニン生成抑制作用を見出したことからその活性成分の探索を行った.その結果,15 種の既知成分とともに,2 種の新規リグナン canangalignan I, II および 3 種の新規テルペン canangaterpenes I, II, III を単離した.次に,得られた成分のメラニン生成抑制作用について検討を行ったところ,数種のモノテルペン,セスキテルペン類が細胞毒性を示すことなく有意なメラニン生成抑制作用を示すことが明らかとなった.特に,canangaterpene I [IC50: 3.6 μM] には,ポジティブコントロールとして用いたアルブチンと比べ,強い抑制作用が認められた.また,得られた成分において,種々の構造活性相関を明らかとした.さらに,ヘンナ (ヘナ, 指甲花, Lawsonia inermis) 花部のトリテルペン類が抗 AGEs 作用を,フラボノイド成分がメラニン生成抑制作用やプラスミン阻害作用を示すことを明らかにした.加えて,昨年度に引き続きアジサイ属植物アマチャ (Hydrangea macrophylla var. thunbergii) の花部の含有成分の探索を行ったところ,ジヒドロイソクマリン配糖体などを得ることができた.また,これまでに蓮花から得られたnuciferin などのアポルフィン型アルカロイドのメラニン生成抑制作用について一部作用メカニズムを明らかにした.
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