研究課題
平成23年度に調製した不均一系カルボラン架橋型水銀試薬の基質適用範囲(汎用性)を確認するため、今年度(平成24年度:~平成25年3月31日)は1,3-ジエン化合物を基質とした分子内反応(環化反応)に、反応触媒として利用した.特に、アリルアミノ化反応、フリーデルクラフツ型の炭素-炭素結合形成反応に用いた.計28種類の基質に対して、反応性や触媒活性を確認したところ、全ての基質に対して、カルボラン水銀試薬の特性であるエキソ選択制な環化反応が進行し、単一の化合物からなる末端アリル生成物を高収率に得ることができた.さらに、不均一系触媒の利点である、触媒の回収、再利用についても確認したところ、使用後の触媒を再活性化することなしに、6~10回分の反応に再利用できることもわかった.このとき、反応液中への水銀塩漏出は0.5 ppm以下であった.これらの成果は、グリーンケミストリーを推進するうえで、金属反応剤を用いた新たな技術開発として重要な知見になると考えられる.
1: 当初の計画以上に進展している
今年度は、平成24年度の研究計画でも立案したように、カルボラン不均一系水銀触媒の基質適用性を確認した.その結果、当初に想定していた以上の反応性と触媒回収率、再利用効率を確認することができた.一方で,カルボラン水銀化合物の毒性を調査し,メチル水銀やフェニル水銀化合物よりも,遥かに神経毒性が低いことも確認できた.
当初の計画通りに研究を遂行する.平成25年度は、不均一系カルボラン触媒を生合成類似型の多重環化反応に応用して、最終的には、藻類成長促進因子サルーシンの蛍光標識体合成に利用する.また、取り組みの一環として、様々なタンデム型多重環化反応に対する不均一系カルボラン触媒の反応性についても調査を行う.
上記したように、平成25年度は、不均一系カルボラン触媒を活用して、藻類成長促進因子サルーシンの蛍光標識体合成を行う.そのため、残りの研究費の全額を合成に必要な基剤や反応試薬の購入に使用させて頂きたい.
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Molecules
巻: 18 ページ: 4181-4191
10.3390/molecules18044181
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
巻: 61 ページ: 452-459
10.1248/cpb.c13-00006
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 56 ページ: 381-385
10.1021/jm3016443
Organic Letters
巻: 14 ページ: 2266-2269
10.1021/ol300678r
http://p.bunri-u.ac.jp/lab04/styled-4/index.html