研究概要 |
平成23年度はオクタアルギニン(R8)とエンドソーム脱出素子(GALA)を組み合わせたナノ粒子(R8-GALA-MEND)の作成を行った。その結果、マウス肝臓にpDNA、siRNAを送達可能なキャリアの構築に成功した[Khalil Ikramy, Hayashi Y et al. J Control Release. 156(3):374-80 (2011), Hayashi Y et al., Int J Pharm. 419(1-2):308-13 (2011)]。次に、さらに高性能なsiRNAデリバリーシステムを構築するために、in vitro、in vivo間のsiRNAの活性の違いがどの素過程に起因するのかについての解析を行った。初めにin vitroとin vivo間の律速段階としてIntracellular Pharamacokinetics (PK)、Intracellular Pharmacodynamics (PD)、の2つの要因に着目し、細胞内に存在するsiRNA分子数と、siRNAのサイレンシング活性における関連性をin vitro系とin vivo系の両方で比較した。その結果、PK、PDの両者ともin vitroとin vivoで同等であることが明らかとなった。次にsiRNAの細胞・肝臓への集積率に着目したところ、in vivoではin vitroよりも投与量を下げるに従って集積量が著しく低下することを発見した。従って、in vitroとin vivo間の活性の大きな違いを決定づけている素過程は初期の段階の取り込み過程に存在していることが明らかとなった(Hayashi Y et al. (Submitted))。
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