平成24年度は平成23年度に引き続きin vitroとin vivoにおけるNanoparticle活性の違いの解析を進めた。in vivoではNanoparticleの投与量を下げるにしたがって肝臓への集積割合が著しく低下することを明らかとした。一方、細胞内動態の過程、及び細胞質のsiRNA分子数とその遺伝子発現抑制効果についてはin vitroとin vivoで大きな違いがないことも明らかとなった。 一方、in vitroとin vivoにおけるNanoparticle活性の比較解析から、遺伝子発現抑制を引き起こすのに必要なsiRNAの数が多いのではないかという結果が明らかとなったため、細胞質でsiRNAがポリカチオンから解離する過程(脱凝縮過程)に着目したキャリアの改良を試みた。従来使用してきた脱凝縮剤であるstearylated-octaarginine(STR-R8)の代わりにpH応答性であるstearylated-octahistidine(STR-H8)を使用したところ、STR-H8を使用した場合、細胞質におけるsiRNAの拡散度合い、遺伝子発現抑制効果の両方の改善が観察された。 最後に、これまでの研究で構築されたNanoparitlceを用いたApplication例として、Hepatocyte Growth FactorをコードしたpDNAを用いた急性肝炎の予防効果を検証した。さらに、DNA microarrayにより同定された新規2型糖尿病関連遺伝子をin vivo siRNA delivery systemを用いて機能解析を行い、2型糖尿病、肥満、脂肪肝の改善効果を得ることに成功した。
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