研究課題/領域番号 |
23790041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角田 誠 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (10323453)
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キーワード | マイクロ化学チップ / グラジエント溶離 |
研究概要 |
微量生体分子の分離に広く用いられれている液体クロマトグラフィーには分離能の限界があることが理論的に知られており、更なる高速化を含めた高性能化のためには、従来技術を超越する分離媒体の開発が切望されていた。そこで、ピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィーに着目して研究を行っている。ピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィーは、マイクロチップ上に規則正しいピラー構造を有する分離媒体であり、試料の拡散が最小限に抑えられるため、従来のカラムクロマトグラフィーの分離能を超越することが理論的に示されており、従来技術以上の高速化・高性能化を可能にすると考えられた。実際に、チップ流路内にピラー構造を作製したオンチップ液体クロマトグラフィーによる分離媒体の開発を行い、汎用されているカラムクロマトグラフィーの高性能化に成功してきた。しかしながら、生体成分の分析を考えると、極性の大きく異なる化合物を分析する必要がある。通常のLCにおいては、そのような分離にはグラジエント溶離を用いる。昨年度、チップ上のグラジエント溶離のためのミキシング用流路として、Tesla構造が適していることを明らかにした。今年度は、Tesla構造とピラー構造を一枚の基板上に集積化したチップを作製し、グラジエント溶離が可能であることを明らかにした。2つの蛍光色素の分離をアイソクラティック分離の半分で可能にした。また、蛍光誘導体化したアミンの高速分離にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィーを用いた分離を生体成分の分離へと応用するには、極性の異なる多成分を短時間に分離するためのグラジエント溶離技術が必須であると考えられた。今年度において、オンチップ上でのグラジエント分離に成功したことから、おおむめ順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究でこれまでに用いているピラー構造は、低拡散曲線構造を有している。しかしながら、流路幅が狭くなってしまい、背圧が高くなってしまうという問題点を有している。そこで、今後は、新たに、拡散を最小限に抑えた曲線構造の開発を行い、より長い流路での分離を可能にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
LC用部品や光学部品などの消耗品 45万 旅費 20万
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