微量生体分子の分離には液体クロマトグラフィー等の分離技術が必須であり、分離において高い分離能を有することが生体分子の定量において、重要である。しかしながら、従来のカラムクロマトグラフィーにおいては分離能の限界があることが示されており、更なる高性能化のためには、従来技術を超越する分離媒体の開発が切望されていた。そこで、理論的に高い分離能を有することが知られていたピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィーに着目して研究を行った。ピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィーは、マイクロチップ上に規則正しいピラーアレイを有する分離媒体である。昨年度までに、チップ流路内にピラー構造を作製したオンチップ液体クロマトグラフィーによる分離媒体の開発を行い、汎用されているカラムクロマトグラフィーの高性能化に成功してきた。また、Tesla構造とピラー構造を一枚の基板上に集積化したチップを作製し、グラジエント溶離が可能であることを明らかにした。今年度は、ピラーアレイカラムの生体試料への応用として、血中アミノ酸の定量分析に適用し、実際に、血中分岐鎖アミノ酸の高速分離・定量に成功した。
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