研究課題
核酸内包DDSは血液中に豊富に存在する分解酵素から核酸を守り、安定に血中に滞留し、標的組織へ集積することが求められる。本研究ではin vivoでFRETを計測することにより、核酸の局在だけでなく凝縮・脱凝縮状態を観察・定量する。これにより今までに得られなかった生体内でのDDSの動態・状態に関する知見をDDSデザインに反映させることが可能となる。平成23年度は高速in vivo FRETを用いた核酸内包DDSの血中安定性・組織移行性の検討を行った。まず生体顕微鏡に単純な光学ミラーを数枚追加して最大4つの蛍光分離を可能にした。プラスミドDNAおよびsiRNAのFRET蛍光ペアの最適化を経て、血流などの速い動きでもFRET測定が可能であることを確認した。ひき続いて蛍光強度の比をFRETの指標として血中における核酸の凝縮状態を測定している。平成24年度はsiRNAを2色の蛍光色素で標識し、32チャンネルスペクトル検出器を用いて蛍光スペクトルを検出した。蛍光スペクトル画像に演算処理を行い、FRETペアの蛍光を分離し、生きたマウスの血中・組織・細胞内におけるsiRNAの分解について評価した。siRNA送達ナノキャリアを数種類比較検討し、血中におけるsiRNAの分解(または安定性)、組織移行、腎糸球体濾過、尿細管における再吸収、再吸収後のsiRNAの分解(または安定性)について評価した。現在論文を執筆中である。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進展している。
平成24年度ではsiRNA内包DDSの生体内分布だけでなく、siRNAが安定に存在しているのか既に分解されているのかを弁別できる新しいDDS評価方法を開発するに至った。平成25年度はこの評価手法を応用し、さらに他種類のDDS評価に応用するとともに、観察対象とする部位を血管、腎臓、肝臓、皮下腫瘍などに拡げる。
顕微鏡周囲の物品(マウス固定器具・ガラス器具・レンズ・パソコン・ストレージなど)を購入する。生体顕微鏡における長時間撮影では得られるデータ量は膨大になる。具体的には6ヶ月の実験で4TBのハードディスクが埋まるため、その都度データストレージを増設する。Dorsal Skinfold Chamberは初期に購入した金具が想定通り徐々に曲がって来たため、交換時期と考えている。6個追加する。蛍光標識siRNAあるいはマウスなど消耗品の購入も見込んでいる。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
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