無細胞合成でGタンパク質共役型受容体を合成し、リガンド結合能を持つ受容体を得ることよび一分蛍光測定への応用を目指して研究を開始した。最初に、GPCRを組み込む環境として、脂質ナノディスクの調製を行った。昆虫由来の無細胞合成系で合成したβ2アドレナリン受容体がリガンド結合能を持つか確認するために、リポソーム共存下で合成した受容体への蛍光リガンドCA200689の特異的結合を全反射蛍光顕微鏡で観察したが脂質膜への非特異的吸着が多く見られた。また、蛍光リガンドとして報告例のあるノルアドレナリン誘導体Cy3-NAおよび、より非特異的吸着が少ないと予想されるAlexa647-NAの合成を行い、CHO細胞に発現したβ2受容体をコイルドコイルラベル法で染色し、蛍光リガンドと共染色できるか試みたが、Cy3-NA、Alexa647-NAのいずれでも受容体を染色する事ができなかった。今後より特異性の高い蛍光染色法の開発が必要だと考えられる。また、無細胞合成でリガンド結合能を持つ受容体を得るためにはタンパク質透過チャネルを含む膜の添加が必要だと考えられる。
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