前年度は、尿中ウラシルを測定するためのサンプル後処理法について検討し、多検体を同時に検査できる簡便な尿中ウラシル定量の可能性を見出した。本年度は、従来法であるカラムスイッチング技術を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による測定値との精度の比較を行った。その結果、蛍光法による尿中ウラシル濃度は、HPLC法に比べて最大で2倍過大評価された。すなわち、ウラシル蛍光反応により検出される夾雑物質の存在が示唆された。そこで、そのような夾雑物質を取り除くため、サンプルの前処理法について検討を行い、蛍光法による尿中ウラシル定量値と従来法による尿中ウラシル定量値が同等になるサンプル前処理の可能性を見出した。 また、平成24~25の研究において、本蛍光反応の反応条件を変化させることでシトシンに特異的な蛍光反応を開発し、この成果は学術論文に掲載されたが、本年度は更にオロト酸に特異的な蛍光反応を発見し、オロト酸尿症のスクリーニング検査法への展開を行っている。なお、この研究成果は現在論文投稿中で、既に受理されている。
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