本研究で検討した薬物のコクリスタル(Cocrystal,共結晶)化は,原薬の化学構造を修飾することなく,その固体物性を改善することができる製剤技術である.本研究ではアセトアミノフェンをモデル原薬として,コクリスタルの形成過程をナノレベルで解明することを試みつつ,メカノケミカル反応を用いた探索スクリーニングにより,新規な共結晶3種類を見出すことができた.また,そのうちベタイン(トリメチルグリシン)とのコクリスタルについては,打錠特性や溶出性といった製剤学的特性の改善について有用な成果が得られた.また,ナノグラムスケールの微細なコクリスタル結晶の調製と顕微ラマン分光による評価を達成した.
|