研究課題/領域番号 |
23790075
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
仲島 由佳 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40399499)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 血管新生 / 腫瘍形成 / エストロゲン受容体ベータ(ERb) / KLF5 |
研究概要 |
・GS-1405によるERb/KLF5を介した血管新生・腫瘍形成抑制機構の解析1)免疫沈降法により、GS-1405のERbとKLF5の結合への影響を評価した。その結果、ERbとKLF5タンパク質との結合にはGS-1405は影響しないことが明らかになった。2)これまでに、GS-1405がERb依存的にKLF5の転写活性化能を抑制させることを明らかにしている。そこで、血管新生・腫瘍形成に関与するERb/KLF5の標的遺伝子の解析をGene Chipを用いて行い、PDGFsを同定した。PDGFAとPDGFBのmRNA量はGS-1405添加によりERb又はKLF5依存的に減少することを確認した。3)KLF5のPDGFAプロモーターへの結合におけるGS-1405の影響をクロマチン免疫沈降法により検討した。その結果、KLF5のPDGFAプロモーターへの結合はGS-1405の添加により阻害されることが明らかになった。・ERb/KLF5の標的遺伝子であるPDGFAのin vivo機能解析1)KLF5のノックダウンにより抑制された血管新生はPDGFAの添加により回復した。この結果からKLF5の血管新生効果はPDGFAを介していることが明らかになった。さらに、GS-1405はKLF5/ERbを介してPDGFAの発現を抑制することで血管新生抑制することが示された。2)これまでにGS-1405の効果はERb/KLF5を介していることを明らかにしていた。そこで前立腺癌細胞を移植した担癌モデルマウスを用いた抗腫瘍試験を行い、KLF5の腫瘍形成能がPDGFAを介しているかどうかの検討を行った。その結果、KLF5のノックダウンにより抑制された腫瘍形成はPDGFAの過剰発現により回復したことから、KLF5の腫瘍形成促進効果はPDGFAを介していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」の項目通りに研究を進めることが出来たので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
・核内受容体のNon-genomic functionを介してKLF5の活性を制御する核内受容体のスクリーニング これまでにKLF5は前立腺癌のみならず、乳癌、大腸癌、白血病などの増殖や進行に関与することが報告されている。また、核内受容体はそれぞれ構造的に相同性が高く、組織特異的に発現しているものも多い。そのため、ERb以外の核内受容体もまたKLF5の転写活性を制御する可能性が高い。1)標的となる細胞においてKLF5と結合する核内受容体を同定する。2)上記で同定した核内受容体とそのリガンドのKLF5の転写活性へ影響を、ルシフェラーゼ・レポーターアッセイを用いて測定する。上記の実験を行う間に、GS-1405の血管新生抑制効果をマウスの血管を可視化する系を用いて、形態的な評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、細胞を扱う実験を多く予定しているため、物品費として細胞用の培地や血清、シャーレなどのプラスチック製品、さらに、遺伝子導入を行うための試薬などの購入を計画している。 さらに、平成23年度内に行うことの出来なかった、マウスの血管を可視化させる系を用た血管新生評価実験を平成24年度に予定しているので、物品費としてマウスや試薬類を前年度からの繰り越し金で購入することを計画している。 また、研究の最終年度なので、研究成果の発表のための旅費や論文投稿のための費用として使用することを計画している。
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