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2011 年度 実施状況報告書

依存性薬物による意思決定障害の行動解析と画像診断

研究課題

研究課題/領域番号 23790082
研究機関名古屋大学

研究代表者

溝口 博之  名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70402568)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード意思決定 / 薬物依存 / 覚せい剤
研究概要

薬物依存患者の意思決定パターンは正常者と異なることが示唆されているが、薬物依存者の意思決定の障害が薬物乱用の原因であるか、あるいは薬物依存の結果として意思決定に障害が生じたのかは不明である。平成23年度は、小動物を対象とした意思決定評価法の確立と意思決定に対する覚せい剤(メタンフェタミン)の効果について検討した。実験には、摂食制限した8週齢の雄性 Wistar ラットを使用し、8方向放射状迷路を用いてギャンブルテストを行った。8つのアームのうち1つをGoodアーム(lowリスク・lowリターン)、1つをBadアーム (highリスク・highリターン)、 2つをemptyアーム(餌なし)、2つをスタートアームとして使用し、残り2つは使用しなかった。アーム位置は常に固定し、スタートアームのいずれかにラットを置き、GoodもしくはBadアーム先端のペレットを摂取するまでを1試行とし、1日 16 試行を連続して行った。Goodアームには、常時ペレット(低報酬)を置いたが、16試行中2-8回の一定の割合でランダムにキニン入りペレット(罰:食べると舌が痺れる)を置いた。Badアームには、常時キニン入りペレットを置いたが、16試行中2-8回の一定の割合でランダムにペレット(大報酬)を置いた。この時、16試行通してGoodとBad両アーム間の総報酬量に差はないようにした。16試行中のBadアームの選択回数(選択率)とemptyアームへの侵入回数を測定した。その結果、本ギャンブルテストでは、ラットは報酬の獲得確率に依存してアームを選択する事が示唆された。また、覚せい剤依存ラットはhighリスク・highリターンを好むことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、(1)意思決定に対する依存性薬物の効果を評価することのできるラットを用いた行動試験法(小動物用ギャンブルテスト)を考案する。 (2)覚せい剤、麻薬、ニコチンなどの依存性薬物の意思決定に対する影響を明らかにする。(3)リスク嗜好性が依存症の脆弱性に関与するかを明らかにする。 (4)マンガン造影MRI法を用いて意思決定に関わる神経回路を同定する。 (5)同神経回路の神経活性に対する依存性薬物の効果を調べる。平成23年度の研究期間中、(1)と(2)は終了しており、予定通りである。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、意思決定の神経回路を解明することが主な研究目的に挙げられる。予備検討により、マンガン造影MRI法を用いて意思決定時における責任脳部位の同定を試みたが、解像度の問題等、容易ではないことが分かった。そこで、研究計画書に記載したように、補足実験である最初期遺伝子c-Fosマッピング法により、意思決定に関与する神経回路を同定する方向で考えている。

次年度の研究費の使用計画

主に意思決定の神経回路網の同定に必要な消耗品(実験動物費、一般試薬など)や旅費・その他(実験動物飼育料、論文投稿料)に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Matrix metalloproteinases contribute to neuronal dysfunction in animal models of drug dependence, Alzheimer's disease, and epilepsy2011

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi H, Yamada K, Nabeshima T
    • 雑誌名

      Biochem Res Int

      巻: 2011 ページ: 681385

    • DOI

      DOI:10.1155/2011/681385

  • [雑誌論文] Matrix metalloproteinase-9 contributes to kindled seizure development in pentylenetetrazole-treated mice by converting pro-BDNF to mature BDNF in the hippocampus.2011

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi H, Nakade J, Tachibana M, Ibi D, Someya E, Koike H, Kamei H, Nabeshima T, Itohara S, Takuma K, Sawada M, Sato J, Yamada K.
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 31 ページ: 12963-12971

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.3118-11.2011

    • 査読あり
  • [学会発表] 報酬に基づく意思決定機構に対する覚せい剤の効果:放射状迷路を用いた小動物用ギャンブルテスト

    • 著者名/発表者名
      溝口博之、福本和哉、Erika Toth、佐藤 純、山田清文
    • 学会等名
      第21回日本臨床精神神経薬理学会、第41回日本神経精神薬理学会合同年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      平成23年10月29日
  • [学会発表] 報酬に基づく意思決定機構に対する覚せい剤の効果

    • 著者名/発表者名
      溝口博之、佐藤 純、山田清文
    • 学会等名
      平成23年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      平成23年10月14日

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公開日: 2013-07-10  

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