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2012 年度 実績報告書

多剤耐性と病原性発現に関与する薬剤排出トランスポーターの機能解明と阻害剤開発

研究課題

研究課題/領域番号 23790085
研究機関大阪大学

研究代表者

西野 美都子  大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教 (30510440)

キーワード多剤耐性 / 薬剤排出 / トランスポーター / 細菌 / 感染症 / サルモネラ / 化学療法 / 病原性
研究概要

近年、抗生物質が効かない多剤耐性菌の出現・感染拡大が医療現場において、国際的に大きな問題となっており、感染症の克服は極めて重要な課題となっている。我々は、サルモネラのゲノム情報をもとに、数多くの多剤排出トランスポーター遺伝子を同定してきた。さらに、これらトランスポーターが、病原性発現制御にも関与していることを明らかにした。しかしながら、これらトランスポーターによる細菌多剤耐性発現制御機構や生理機能、生理基質などについては殆どが未知のままであった。そこで、本計画では、病原細菌に潜む排出トランスポーターによる多剤耐性化と病原性の制御機構を明らかにすることを目的とする。得られた結果は以下の通りである。
サルモネラには9種類の薬剤排出トランスポーター遺伝子が存在している。この中でも、ABC型トランスポーターの発現が宿主環境のマクロファージ内において誘導されることが明らかとなった。宿主環境内において、強く発現誘導され、病原性に深く関与しているトランスポーターに着目し、薬物排出トランスポーターの生理基質の同定を目指して研究を進めた。トランスポーター発現株の培養上清中には、糖に関与するタンパク質、特にリボースに関与するタンパク質が多く同定された。マルトース類縁体であるADP-リボースは多くの細菌において病原性発現に関与していることが知られている。薬剤排出トランスポーターがリボースを介して病原性発現に関係している可能性が示唆された。この他にも、RNAシャペロンであるHfqによるサルモネラ薬剤耐性制御機構を明らかにする等の進展があった。本成果は、薬剤耐性化を克服しながら病原性を軽減することのできる、新しい感染症治療法の開発に、繋がると強く期待される。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Morphological analysis of autophagy2013

    • 著者名/発表者名
      K. Tabata, M. Hayashi-Nishino, T. Noda, A.Yamamoto, T. Yoshimori
    • 雑誌名

      Methods Mol. Biol.

      巻: 931 ページ: 449-466

    • DOI

      DOI:10.1007/978-1-62703-056-4_23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autophagosomes induced by a bacterial Beclin 1 binding protein facilitate obligatory intracellular infection2012

    • 著者名/発表者名
      H. Niu, Q. Xiong, A. Yamamoto, M.Hayashi-Nishino, Y. Rikihisa
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 109 ページ: 20800-20807

    • DOI

      DOI:10.1073/pnas.1218674109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of Hfq on the intrinsic drug resistance of Salmonella enterica serovar Typhimurium2012

    • 著者名/発表者名
      M. Hayashi-Nishino, A. Fukushima, K.Nishino
    • 雑誌名

      Front. Microbiol.

      巻: 3 ページ: 205

    • DOI

      DOI:10.3389/fmicb.2012.00205

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of novel therapeutic strategies to tackle multidrug-resistant pathogens2012

    • 著者名/発表者名
      Nishino, K., K. Hayashi, S. Yamasaki, S. Yamasaki, Y. Matsumoto, M. Hayashi-Nishino, A. Yamaguchi
    • 学会等名
      New Frontiers of Metabolism Research in Biomedical Sciences
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      2012-09-27
  • [学会発表] 電子線トモグラフィーによる細胞小器官の3D解析

    • 著者名/発表者名
      西野美都子
    • 学会等名
      第37回組織細胞化学講習会
    • 発表場所
      大阪
    • 招待講演
  • [図書] オートファジー「電子顕微鏡を用いたオートファジー解析」2012

    • 著者名/発表者名
      西野―林美都子(水島昇・吉森保/編)
    • 総ページ数
      14章担当
    • 出版者
      化学同人
  • [図書] 組織細胞化学技術プロトコール 組織細胞化学の挑戦 -臨床応用研究への飛躍- 見る!-電子顕微鏡の基礎と応用-「電子線トモグラフィーによる細胞小器官の3D解析」2012

    • 著者名/発表者名
      西野―林美都子
    • 総ページ数
      pp. 213-217
    • 出版者
      日本組織細胞化学会
  • [備考] 大阪大学産業科学研究所

    • URL

      http://www.sanken.osaka-u.ac.jp

  • [備考] アナプラズマ症原因細菌によるオートファジー誘導の仕組みを解明 -新規治療法開発への応用に期待!-

    • URL

      http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/jp/operation/research_activities.html#hot_20130115

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公開日: 2014-07-24  

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