研究課題
本研究期間内に、CYLD が制御する肺線維化のメカニズムを明らかにすることを目的に、これまでに得られた基礎的な知見をもとに以下の検討を行った。1.細胞培養系を用いたCYLD の機能解析: CYLDの遺伝子発現抑制により誘発される線維化関連遺伝子(コラーゲン、フィブロネクチンなど)の過剰発現が、CYLDの脱ユビキチン化酵素としての機能喪失により惹起されるTGFシグナルの過剰活性化の結果として起きることを見出した。2.肺線維化モデルマウスを用いたCYLDの機能解析:CYLD 欠損マウスで誘発される肺線維化組織において、培養細胞を用いた実験と同様に、TGFシグナルの過剰活性化とそれに伴う肺線維症関連遺伝子の過剰発現が起きていることを明らかにした。3.CYLD 発現抑制メカニズムを解明:培養細胞を用いた実験において、mRNAおよびタンパク質レベルのCYLDの発現が、低酸素状態により不可逆的に低下することが明らかとなった。また、炎症性サイトカイン刺激(IL-6など)によってもCYLDの発現が低下することを見出した。以上、1~3の結果より、肺線維化におけるCYLD機能不全の分子病態メカニズムの一端が明らかになり、CYLDはTGFシグナルの制御を行うことで肺の線維化において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、病態時におけるCYLDの発現抑制メカニズムのに関する基礎的知見が得られた。
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