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2012 年度 実施状況報告書

赤血球・血小板におけるスフィンゴシン1リン酸輸送機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23790093
研究機関帝京平成大学

研究代表者

小林 直木  帝京平成大学, 薬学部, 助教 (90532250)

キーワードS1P / スフィンゴシン / 輸送体 / トランスポーター / 赤血球 / 脂質
研究概要

スフィンゴシン1リン酸(S1P)は、血液中に豊富に存在する脂溶性の細胞外情報伝達物質であり、胸腺や脾臓から血液中へのリンパ球の移出を促進する。血液中のS1Pは、主に赤血球から供給されているが、赤血球からのS1P放出機構はほとんど明らかになっていない。本研究は、S1Pの光反応性分子を用いることで、赤血球のS1P輸送体を単離し、同定することを目的とする。
昨年度までの研究において、私たちは合成したS1P-biotin-diazirineにより、赤血球膜画分のタンパク質がラベルされることを確認したが、S1P輸送体の同定には至らなかった。そこで、S1P-biotin-diazirineにより、S1P輸送体をラベルすることができるのかどうかを検証するため、私たちがS1P輸送体として同定しているSPNS2をCHO細胞に発現させ、S1P-biotin-diazirineによる光親和性ラベリングを行った。その結果、S1P-biotin-diazirineによりSPNS2発現細胞のラベリングを行った場合に限り、アビジンビーズによりSPNS2が精製された。一方、細胞質ゾル局在性のタンパク質であるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)をCHO細胞に発現させ、同様に実験を行ったが、アビジンビーズによりCATが精製されなかったことから、S1P-biotin-diazirineによるラベリングはSPNS2特異的であり、S1P-biotin-diazirineがS1P輸送体の光親和性ラベリング試薬として機能することが明らかになった。S1P-biotin-diazirineによるSPNS2のラベリングにより、SPNS2のS1P結合サイトが明らかになれば、SPNS2阻害剤のデザインも可能になると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

合成した光反応性S1P-biotinを用いてS1P輸送体の光親和性ラベリングが可能であることを証明できたものの、大学のキャンパス移転に伴い研究を行えない期間が3ヶ月程度生じた等の理由により、赤血球のS1P輸送体同定には至っていないことから。

今後の研究の推進方策

S1P-biotinに対し特異的に結合したタンパク質が微量であり、質量分析により同定されなかった可能性があることから、ラベリング及び精製条件の検討やネガティブコントロールとの比較を厳密に行う。また、インタクトの赤血球・血小板において、このS1Pアナログが細胞外へ放出されるかどうか検証する。

次年度の研究費の使用計画

S1Pアナログ、光架橋剤、SDS-PAGE等の生化学的実験用の試薬、プラスチック器具、実験動物などの消耗品、学会発表に関わる経費や論文投稿のための経費に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mouse SPNS2 functions as a sphingosine-1-phosphate transporter in vascular endothelial cells2012

    • 著者名/発表者名
      Hisano Y, Kobayashi N, Yamaguchi A and Nishi T
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e38941

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0038941

    • 査読あり
  • [学会発表] 光反応性分子を用いたスフィンゴシン1リン酸輸送体の探索2012

    • 著者名/発表者名
      小林直木、山口明人、西毅
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      マリンメッセ福岡(福岡県)
    • 年月日
      20121216-20121216

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公開日: 2014-07-24  

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