研究課題/領域番号 |
23790106
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
森田 雄二 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (00454322)
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キーワード | 多剤耐性緑膿菌 / 多剤排出ポンプ |
研究概要 |
昨年度に引き続き多剤耐性緑膿菌由来の多剤排出ポンプ欠損株を用いて、抗菌薬耐性に関する研究を遺伝子レベルから展開した。薬剤耐性緑膿菌臨床分離株PA7は、多剤排出ポンプオペロンmexXY-oprAとmexEF-oprNの遺伝子発現の亢進した株であることを前年度既に明らかにしているが、今年度mexEF-oprN遺伝子発現亢進の原因が推定酸化還元酵素の1つのアミノ酸残基の変異であることを実験的に証明し、その結果などについて国内学会で報告した。また緑膿菌の新規抗菌薬耐性関連遺伝子をいくつか見出し、国内学会で報告した。 多剤耐性緑膿菌を用いて多剤耐性克服薬の探索を行った結果、多剤耐性緑膿菌の抗菌薬耐性を克服するシード化合物が見つかった。その化合物は、他の薬剤耐性緑膿菌臨床株の抗菌薬耐性も同様に阻害した。現在その分子機構を詳細に解析している。また前年度構築した多剤耐性緑膿菌の多剤排出ポンプ欠損株を用いてメタゲノムライブラリーの多剤耐性克服薬を探索しているが、現時点でシード化合物(候補遺伝子)は得られていない。 多剤耐性緑膿菌の主要なアミノ配糖体耐性機構の1つである多剤排出ポンプMexXYに関する総説を依頼され国際雑誌に英文で発表した。また臨床上重要であるが同定困難な感染症原因菌で、少なくともマクロライドやキノロンに薬剤耐性を示すHelicobacter cinaedi PAGU 611のゲノム配列を決定したが、その菌の多剤排出ポンプに関する総説を依頼され国際雑誌に英文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多剤耐性緑膿菌の多剤排出ポンプ遺伝子発現亢進の新たな分子機構を明らかにしたこと、多剤耐性緑膿菌の薬剤耐性を阻害するシード化合物が得られたことを考慮すると、研究は順調に進んでいるといえる。その証左として、上記英文総説執筆の依頼が挙げられる。これは前年度の研究実績を原著論文として国際雑誌で発表したことに端を発するものである。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度同様さらにシード化合物(遺伝子)探索に尽力する。特に多剤耐性緑膿菌多剤排出ポンプ欠損株を用いた多剤耐性克服薬の候補化合物(遺伝子)の探索を中心に行う。また得られたシード化合物の薬剤耐性阻害機構を生化学的および分子生物学的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度同様、研究費の大部分は研究遂行に必要な消耗品の購入に用いる。またその他として研究成果の発表、耐性菌やベクターの分与、研究打合せなどに用いる。
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